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高校生からもらった最後のメッセージ

コロナウイルスの影響で、私の勤務しているバンコクのインターナショナルスクールも学校が閉鎖されました。 今回は高校3年生からもらった最後のメッセージについて書きます。

最後の登校日

「タイの教育省の要請により、学校は明日から閉鎖されます。」という短いメールを私達が受け取ったのは3月17日の事でした。この通知により、その日が高校3年生の最後の登校日となりました。学生達も自分の高校生活がこんな風に終わってしまうなんて予想もしなかったと思います。
彼らはその日の授業が終わると、納得のいかない表情を浮かべながらもお互いに短い挨拶を交わし、家に帰って行きました。

放課後、静まりかえった教室に戻ると、持ち主不在のノートが風に吹かれ、パラパラとめくれました。

最後のメッセージ

その後、授業はオンラインに切り替わり、やがて、彼らのクラスも終了しました。最後の授業の日に私が学生達にお別れのメールをすると、数人の生徒から返信が返ってきました。

「2年間日本語を教えてくれてどうも有難う。日本語のクラスは私の大好きなクラスで、毎週クラスがとても楽しかったです。大学に行っても日本語を続けます。大変お世話になりました。」

「日本語のクラスはとても楽しかったです。先生の助けがなかったら、最後まで日本語を続けらなかったと思います。日本語が嫌になって勉強したくなかった時もあったけれど、そんな時もサポートしてくれてどうも有難う。」

最初のメールを読んで、自分が厳しい状況に置かれていても他人に素直に感謝を表す学生の心が素晴らしいと思いました。それから、お世辞でも授業が「楽しかった」と言ってくれた彼女の優しさが嬉しかったです。

2通目のメールは読んでいて苦笑してしまいました。彼女は一度宿題を提出しなかった事があったので、その件について親にメールを送ったところ、次の日朝一番に私の部屋に来て「宿題はちゃんと提出するからを親にだけはメールしないで。」と詰め寄ってきました。でも、メールを見て思いました。「彼女は知っていたのです。他人からの厳しさが時には必要な事を…」と。

「思いやり」と「やさしさ」そして、「感謝」がたくさんつまったメールを学生から貰い、本当に嬉しかったです。 鈍い私も最後になってようやく気が付きました。

「こんなメッセージが聞きたくて私は教員になったのだという事を…」そして, 「感謝をしなければならなかったのは彼女達ではなく、私だった事を...」

学生達がいなくなってから3か月あまり経ちましたが、今でも時々彼女達のやさしい笑顔を思い出します。


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