コシキ DE カヨラボ、コシキラボ計画案
こんにちは、ファイバーアート・イノベーターのカヨサトーです。
パンチDEデートみたいな題目となっておりますが、まさにそうなのです。私、恋しちゃってる。甑島に。そんな私にあの頃のきよし師匠と三枝師匠(当時)が前のめりで語りかけてくるのです。
きよし「ひと目会ったその日から」
三枝「恋の花咲くこともある」
きよし「見知らぬ貴女(あなた)と」
三枝「見知らぬ貴男(あなた)に」
きよし「デートを取り持つ」
きよし、三枝「こしき DE カヨラボ!」
はーじまりました。こしき DE カヨラボ!
さて、現在カヨラボでは、鹿児島県の離島である甑島に「コシキラボ」(仮称、以下略)を創る、という事業計画に邁進しております。計画に邁進という所が、まだまだはじまったばかり感が出ているかと思います。
さてこのコシキラボとは何ぞや。そしてこれを創ってカヨラボとして何がしたいのか。”いま”考えていることをお伝えできればと思い、少し長くなりますがまとめてみました。
1.バ(場)の提供
カヨサトーは甑島が好き
そもそも。甑島とは。読み方は「こしきしま」。以下のWebを参照いただくと私が愛してやまない甑島の魅力がよくご理解いただけると思う。
私の友人が下甑島在住ということもあり、何度となく訪れてきた。夏はもちろん、春、秋、冬。季節ごとに全く違う表情を見せる色、風、匂い。目の前に広がる海、空、断崖。そして恐竜の化石も発掘されているほど、地球の歴史を間近に見ることができる。甑島列島はまさにジオパークで、どの季節も景色も絶景。満天の星空なんて陳腐な言葉に思えるほど、夜空を見上げてはいつも嬉しい方のため息が出る。すっかり虜になって、行く度にどんどんますます魅了されていく甑島。
大学教員時代、そんな甑島で仕事がしたいがために、フィールドワークで染織ワークショップを上甑や下甑で開催したり、甑島の染織工芸資料の研究をしたりしていた。そして学会で「甑島ツーリングビジョン」(平成27年薩摩川内市策定の甑島地域島内資源の保護と活用による観光振興を主軸とした地域振興に特化した計画)の支援プログラムについて発表をしたりもした。島の皆さんにも徐々にお知り合いが増えてきて、高速船やフェリーを降りたら、港でお帰りーって言ってもらえるようになった。とても嬉しい。更に甑が好きになっていく。
そして遂には、甑島に住みながら仕事がしたいと思うようになった。カヨラボを甑島に移転し、拠点となる「コシキラボ」を創りたい、と。ここにはカヨラボ事務所、兼、半公共施設的な役割を持たせたい。広いスペースに創造空間と発表空間を持つような場所。アトリエ+ギャラリー+研究室=コシキラボ。
*コシキラボを染織やアートの拠点とし、島の皆さんと島の自然素材を使って染めたり織ったり、手芸、工作、造形活動をしたり。キャッキャウフフしながらシェアアトリエとして場を提供し共有したいのが、目的の一つ。
2.モノの提供
失われつつある甑島の染織工芸
かつて下甑島には「ビーダナシ甑島芙蓉布」があり、鹿児島県指定伝統工芸品として登録されていた。ビーダナシとは、”ビー”が島に自生する芙蓉のことを指し、”ダナシ(タナシ)”が袖付きの衣を意味する、芙蓉の繊維を用いて織られた着物である。(島では他にも葛の繊維で織られた着物をクズダナシ、イチビ繊維の着物はイチビダナシと呼んでいる。)
ビーダナシは下甑島でも瀬々野浦地区独自の織物で、世界でも他に類例を見ない希少な染織工芸品だった。明治時代初期まで集落で作られていた記録があるがその後廃れ、昭和50年代に島民である中村悦子氏が復元に成功し、鹿児島県指定伝統工芸品となった。しかし残念なことに後継者不足や安定的な生産供給が出来なかったことなどから、産業として定着せず再度廃れてしまっていた。
島ではその技法を知る縁者が存命なうちに技術継承し(ある種これも喫緊の課題)この独自の織物を文化資源として活用したいという思いがずっとあったようだ。私はこれまで染織工芸や文化財保護分野に携わってきたので、その辺りはカヨラボ的お手伝いができそうであると感じているし、島の皆さんと一緒にビーダナシを紐解き、令和の視点で活用方法を模索していきたい。現代のライフスタイルになじむ生活雑貨などに落とし込み、商品展開へ、、、と新たな価値感を付加し、今風に言うなら「シン・ビーダナシ」を創造していきたいと思っている。
*コシキラボでビーダナシを再研究し、現代のニーズに合った「シン・ビーダナシ」を創り、商品展開したいのが、目的のふたつ。
3.コトの提供
観光や子供たちの体験や生涯教育の一助に
甑島の観光資源問題の一助としてもコシキラボが役立つのではないかと思っている。以前フィールドワークで島の皆さんにヒアリングを行ったところ、島内では伝統工芸や美術・芸術を体験する機会が殆どなく、子供達に文化的な体験をさせたいと思っていること。また観光資源としても地域に根差したテーマでの文化的プログラムを切望していることなどの声が上がっていた。
また薩摩川内市の学校教育では、小中一貫教育の教科である「ふるさと・コミュニケーション科」において、地域の人材や素材等を活用した授業や体験活動を実施しており、教育現場でも地域文化との積極的な連携を望んでいることがわかった。
この辺りのニーズに関しては、これまで授業を作り教育効果を検証し実施してきた経験からお手伝いできそうだし、是非チカラになりたい部分。
例えば観光客向けに、雨の日にも屋内で体験できる文化的なワークショッププログラムを開発することや、子どもたち・大人の生涯教育としての美術工芸体験プログラムの提供など、一緒に何か作っていこうというコトの提供。
そしてこれらコトの提供は、島の伝統工芸(この場合特にビーダナシ)を周知・存続させる活動の後押しになるとも考えている。実は以前、静岡大学との共同研究で伝統工芸の知識や興味関心に関するアンケートを大規模に実施したことがあった。その結果、ワークショップ等での実制作やレクチャーを通して伝統工芸を知る・体験することが、その後の興味関心に強く結びついていることが示唆されたのだ。体験大事。人生の中で、この一度の体験が強烈な出会いとなってコトが始まるっていうこともあり得る。
だからこそ、島の皆さんや観光客に向けて甑島地域の独自の伝統工芸をプログラム化して体験してもらうことが、周知伝達、ファンの創出など、存続展開に資することになるだろうと考えている。
*コシキラボで子供向け造形教室や、大人向けアートクラス、染織工芸セミナー、観光客向け体験プログラムなどを開発実施し、皆さんの需要にお答えしたいことが、目的のみっつ。
4.コシキラボでできること(案)
バ・モノ・コトのこれら3つの目的を胸に、今現在考えているコシキラボの設備面について少し述べたい。まだ案の段階なのだけれど。(夢、ともいう)
コシキラボには織機(m機、着尺機、卓上機)、ミシン、アイロン等の繊維造形に必要な機材を設置。アトリエ部分には染織道具のほか、画材やある程度の工具、用具も置く。染色室を備え、流し台、火力あるコンロ、寸胴など染め用具を設置し染色ができるように。
フリースペースではアート作品の展示発表の他、ヨガ教室や手芸教室等の自由な使い方ができるように、可動式のパネルや机、スポットライト等を設置。光ファイバーが島にもうすぐ来るということで、やって来次第加入し、コワーキングスペースとしても使えるように。(本人が一番便利かも)
本棚には染織、テキスタイル、ファッション、技法書、甲冑武具、絵巻物関連等(カヨサトー蔵書、かなりの偏り)を置き、閲覧は自由に。
コシキラボは、アイデア次第でいろんな使い方ができるような場所にしたい。島の皆さんのアートや文化の拠点として気軽に行き来していただけるような場所。シェアアトリエ方式で、手工芸教室や各種セミナー開催の場としての利用も嬉しい。夏休みの自由研究で、作りたいものを相談しながら一緒にカタチにしていくのも楽しいと思う。他にワークショップ、染織教室、季節によってアートイベント等も開催したい。みんなで染め染めした布を、物干しにひらひらさせたい。
それから島の皆さんと、手作りマルシェなんかもできると嬉しい。
そして、最終目標は島の宿泊施設や飲食店等と連携し、アーティスト&リサーチャー・イン・レジデンスをやってみたい。コシキラボでアーティストと研究者と島の人々がまざりあって、島の魅力を再発見したり、更に深く学んだり。国内外のアーティストや研究者が、ここを目指して来てくれるようになると嬉しい。これは本当の意味での、夢だな。
甑島列島全部がジオパークであるからこそ、その大自然をふんだんに用いたアート、工芸、体験をコシキラボで創っていこうと考えている。
このような気持ちの、こしき DE カヨラボ
このような想い、環境、計画でコシキラボを創っていき、運営していきたいカヨラボであります。カヨサトーの甑愛、受け止めていただければ幸いです。計画の進捗は今後も報告してまいります。よろしくお願いいたします!
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