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フィンランド 2022年の風力発電75%増

フィンランド風力エネルギー協会(FWPA)によると、2022年、フィンランドの風力発電容量は前年から75%増加した。同国の風力発電の約半分は国産で、現在のエネルギー危機の中、再生可能エネルギーが重要な生命線となっている。

FWPAのアンニ・ミッコネン(Anni Mikkonen)会長は、「我が国のエネルギー自給率は風力発電によって非常に良いペースで高まっている。今はまさに、新しくて安価な電力生産が最も必要とされている時でもある」と述べる。

他のヨーロッパ諸国と同様、フィンランドはロシアによるウクライナ侵攻後の燃料不足に対応するため、再生可能エネルギーへの移行を加速させた。2022年12月には、国際エネルギー機関(IEA)が今後5年間で世界の再生可能エネルギー発電容量の伸びが2倍になると予測している。

しかし、燃料不足によって、オーストリアとドイツでは、電力需要に対応するために石炭火力発電所が再稼働されるなど、一部の気候変動対策は短期的に揺り戻されている面もある。フィンランドでも、石油小売業者が配合しなければならない再生可能燃料の割合が減らされた。

とはいえ、自然エネルギーの増加は、フィンランドが掲げる野心的な気候変動目標の達成にも寄与している。フィンランドは、EUの2050年目標を大幅に上回り、2035年にヨーロッパでいち早くネットゼロを達成することを目指している。

2022年、フィンランドでは新たに427基の風力タービンが稼働し、2,430MWの発電容量が追加された。1MWは推定1,000世帯分の電力に相当することから、240万世帯以上の家庭で利用できる容量に達したことになる。

現在、フィンランドには合計で1,393基の風力タービンがあり、その発電容量は5,677MWだ。550万人の人口を抱えるフィンランドにとって、この発電容量は全世帯が利用する電力を賄える可能性がある。また風力発電容量は、今後数年間をかけて、年間約1,000MWずつ増えると予想されており、フィンランドにおける電力消費に占める風力発電比率は、2021年の約10%から2025年までには少なくとも28%にまで拡大すると予測されている。

フィンランドでは2022年、新たな風力発電に向けて約29億ユーロが投資された。「フィンランドにおいて、風力発電は最も大きな投資を呼び込んでいます」とミッコネン氏は言う。「風力発電はまた、小規模な自治体にも経済活力をもたらしています。こうした自治体にとって、投資対象は限られますからね」。

自然エネルギーコストは低下傾向にあり、それによって将来、国のエネルギー価格が下がることも期待される。「今、フィンランドで、これほど早く、これほど費用対効果の高い発電源は他にない」とミッコネン氏は言う。

オックスフォード大学の研究によると、2050年までに化石燃料の使用を止めれば、世界で少なくとも12兆ドル(11兆3千億ユーロ)の節約になるという。

風力発電の生産量は、世界全体で年間23%増加しており、発電量が急増すれば、コストは下がり続ける。その一方で化石燃料の価格は、インフレ調整後、過去140年間、大きく下がっていない。大きな変化があったとしても、それはウクライナ戦争のような地政学的な出来事によるもので、全体として、自然エネルギーは、初期費用は高いけれども化石燃料よりも安価になりうる。

他のヨーロッパ諸国の自然エネルギーの状況
ヨーロッパ全体では、太陽光発電が自然エネルギー革命のマジョリティとなっている。業界団体のソーラーパワー・ヨーロッパ(SolarPower Europe)の報告書によると、2022年、欧州での太陽光発電は約50%と急増した。この報告書によると、EUでは2023年、4140万kWという記録的な容量の太陽光発電が導入される。これは1,240万世帯の利用電力に相当する。

ソーラーパワー・ヨーロッパのWalburga Hemetsberger会長によると、「太陽光発電ほど急速かつ確実に成長しているエネルギー源は他にない」という。

国際エネルギー機関(IEA)によると、EUは、ロシア産ガスの不足を補うために、2023年には約60GWの太陽光発電を導入する必要があるとしている。

また、風力発電も増加傾向にある。2022年11月に開催されたCOP27では、ベルギー、コロンビア、ドイツ、アイルランド、日本、オランダ、ノルウェー、英国、米国の9カ国が、洋上風力発電の発展を誓うグローバル・オフショア・ウィンド・アライアンス(Global Offshore Wind Alliance: GOWA)に署名した。このアライアンスでは、2030年までに少なくとも380GWの風力発電設備容量の確保を目標としている。

ウィンド・ヨーロッパ(Wind Europe)によると、現在、欧州の電力の15%を風力エネルギーが占めており、欧州で30万人の雇用を支えているという。風力発電の最大の生産国は英国で、ドイツやオランダにも大きな市場がある。

(引用元)https://www.euronews.com/green/2023/01/12/finland-wind-power-increased-by-75-last-year-boosting-energy-security-and-climate-goals

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