【完全予約制】古民家で楽しむ、お茶とお菓子の時間
電車を降りたら、思いのほか日差しがまぶしくて、目をぎゅっと瞑った。
9月のお彼岸が明けたころ。
鎌倉、由比ヶ浜にある築90年の古民家を利用したスペース『蕾の家』へ行ってきました。
完全予約制のカウンターで、美味しいお茶のある時間を過ごせます。
いくつかコースがあるなかで、平日15:00からの【お茶とお酒のちょい呑みコース】を予約しました。時間は60分です。
お酒は希望すれば出していただけるのですが、あまり強くないので今回はやめておきました。3種類のお茶と、おやつを楽しみました。
まず最初に供していただいたのは、阿波徳島のお茶。
【阿波晩茶】です。
乳酸発酵させているためか、とってもフルーティな味がします。言われなければ日本のお茶だとは思えないかも。優しい味の烏龍茶って感じでした。
カウンターでまったりとお茶をいただきながら、『蕾の家』のおかみさんとおしゃべりを楽しみました。
「どんなお茶が好き? おうちではどんなの飲んでた?」と聞かれ、おじいちゃんやおばあちゃんが淹れてた味が懐かしいという話を。
だけどいまいち、お茶の旨味ってものがわからない。
「お茶のうまみを教えてください!」
「いいテーマね。まかせて!」
こんな感じで、お茶の時間は進んでいきます。
二杯目のお茶は【あさつゆ】。詩的な名前ですね。
お湯の温度を変えて、二回、味わわせていただきました。
まず、一煎め。
お茶の旨味がすべて凝縮されているという一杯です。
お湯の温度は70℃……けっこう温く感じる。ぐわっと濃い味が、勢いよく押し寄せます。お茶らしい苦みも。大人の味だと思いました。
そして、違いを楽しむ二煎めをいただきます。
温度は80℃。私、この温度が好きだな。
熱いお湯で淹れたほうが、実家で飲んでいた味に近かった。実家ではいっつもポットから直接急須に熱々のお湯を注いでたもんね。懐かしい味でした。
懐かしい味って、脳がすごく回転するんです。
味わううちに、「今はいつ? ここはどこ?」って思って、頭がびっくりしました。
さあ、次は3杯目のお茶に参ります。
「萎凋(いちょう)」という言葉をはじめて知りました。
これは銀杏のイチョウじゃなくて……【萎凋(いちょう)】とは、おとろえてしぼむこと。
摘み取った茶葉を風通しのよいところに放置して、わざと葉をしおれさせ、香りを高めるのだそうです。
「微発酵茶」というだけあって、味は複雑で繊細。
「なにか違う…でもどう違うのか、なんなのか、わかんない。でも違うってことは分かる、ユニークな味」だと思いました。
萎凋茶と前後して出されたのが、二つ目のおやつ。「これ、何か分かる?」と出されたのは……ほおずき。
ほおずきってアレだよね、鬼灯! お盆とかに飾るオレンジ色の植物だよね?
食べた直後「んん〜!」って唸りました。美味しすぎて。
ベリーとかマスカットとかを合体させたような味と食感です。
いきなり出されてかなり身構えたのですが、めっちゃうま〜!でした。
お茶とお菓子をいただいている間、気持ちのいい風がお庭から入ってきます。
こちらの『蕾の家』には立派なお庭があるのですが、そこにはたまに大きなリスが遊びにくるそうです。
いいな〜、見たかったな〜。すんごいでっかいリスらしいです。
お茶とお菓子を味わう、至福の1時間でした。
蕾の家は、由比ヶ浜駅から徒歩3分。
インスタグラムに情報がまとまっていますので、「鎌倉行きてぇ〜」とご興味が湧きましたら、「海とお茶のくらし鎌倉蕾の家」で検索してください。
この日、電車に乗りながら、たまたま見つけた俳句。
つきぬけて天上の紺曼珠沙華/山口誓子
路地の片隅や海辺の公園では、彼岸花が風に揺れていました。
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