小さくて愛おしい新美南吉の世界
新美南吉の『花をうめる』がとてもいい。
うわぁぁ〜、なんてきれいで儚い世界なんだ〜!と感動したので、ここに備忘録的に書いておく。
花を土に埋め、ガラスの破片と砂をかけて隠し、それを指先だけで探す──ふたりもいればできる、ささやかな遊びだ。
「私」はこの遊びが好きだった。しめった土の匂い、指先に触れる冷たさ、埋められた花の色。興味の中心は勝ち負けではなくて「土中の一握りの花の美しさ」だった。
でも、この美しい世界はある日終わりを迎える。同じ景色を共有していると思っていた遊び仲