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中華BL『千秋1&2』を読みました🍃

【注】ネタバレ連発してます!

1巻2巻ともに緑が美しいヴィジュアルですね。
新緑の季節にぴったり。ストーリーもキャラクターも良すぎて……特装版も欲しくなってきた今日この頃です。

まず攻めの不良中年が最高だなって思った。

攻め:晏無師(イエンウースー)
魔教の宗主で、この世界のワル代表なのですが、自分のこと「本座」って呼ぶんですよ。新鮮だよね、この一人称…かっこいいし、高慢で鼻持ちならねー感じがぷんぷんしてて美味しい。
こめかみに一房、白髪があるのもいいですね。真っ白なものをどす黒く染めたい人なのに、自分の体には白と黒、両面性があるのかな、なんて思わせる造形です。

受け:沈嶠(シェンチアオ)
若竹色がよく似合う、誰もが目を瞠る美人。力の使い所が上手い人。つまりはとても頭がいい。そして善人。
冒頭、深い怪我を負って記憶も失い、視力も閉ざされる。晏無師に拾われるけど、お人形さんみたいに扱われていて「あんた今、あることないこと吹き込まれてるよ!信じちゃメッ!」ってドキドキしちゃった…
驚くほど素直で、記憶がないにもかかわらず人の言うことを信じるし、悪人が毒気を抜かれるほど無垢。おかげで独特な用語に不慣れでものめり込んでしまった。
恐ろしい子。


ラブを感じさせるシーンは(まだ)ないんですが、読んでて思わずニッコニコしちゃうシーンはいっぱいあります!!!

晏無師が「魔音摂心」(魅了の邪術)を使って沈嶠の心に付け入ろうとするシーン。内なる憎しみを煽って黒く染めようとするんですけど、

ここを通る者がいれば、きっと二人は親しく睦言でも交わしているのだと思うことだろう。

『千秋1』第4章

側からみるとイチャイチャ状態なのですよ。
沈嶠…可哀想だけど可愛いな。

なんだかんだで沈嶠は弱ってるから意識を失って、宿に運ばれるんですけど、晏無師がやたらめったら優しいので違和感がすごくてゾワゾワっとしたり。ひょっとして嫌がらせされてんのか?とまで考えたり。さらになんだかんだで壁ドンされて、「阿嶠(アーチャオ)」なんて馴れ馴れしく呼びかけられて「魔音摂心」もろ浴びして幻惑されるけど、はっと我に返ったり。

沈嶠はビクリと震え、意識が覚醒する。
「今、私に魅惑術を!?」
(中略)
「本座に手を出してもらえるのは光栄なことだぞ」と言わんばかりの傲慢な口ぶりだ。

『千秋1』第4章

この後の本座様は、沈嶠に教えなくていいような知識まで授けたりして(「皮杯児」のくだり)沈嶠を怒りで青ざめさせるんですよ。困ったおっさんですね。
これ最初は揶揄ってるだけなのに、そのうち本座様が夢中になっちゃう流れじゃないですか…???


「やはり私の阿嶠は優しいのだな」

『千秋1』第6章

「阿嶠、そんなムスッとするな」

『千秋1』第6章

本当に……もう一度踏みつけたくなってしまう。沈嶠は、どのような苦しみの果てに徹底的に打ちのめされ、絶望した姿を見せるのか。
もしこの顔を涙でしとどに濡らし、しきりに哀願を口にしたら、もっと美しくなるのではないだろうか?

『千秋1』第6章

アレコレ考える本座様、猛烈にやべえやつです。


2巻に入ると、第1章の終わりでチューするんですよ。ブチ切れた沈嶠は怒りで気絶するんだけど…(読者は幸せですが、沈嶠には大変申し訳ない)。
これはラブじゃなくて本座様の悪戯心だよね。でもただの悪戯で咄嗟にディープキッスできるか?っつたら無理じゃないすか。となると晏無師は、いつか沈嶠にチューするつもりでいたのではないか??? 私はそう思いたい。

晏無師は沈嶠の手を引き、自分の胸に押し当てた。
「ほら聞いてみろ、私の可愛い心の臓は今でもひどくドキドキとしているのだぞ!」

『千秋2』 第1章

我思う。あんたの心臓そんなに可愛くないよ。

沈嶠は腰をしっかりと摑まれた状態で、すらりとした美しい首を晒すように強引に上を向かされた。

『千秋2』 第1章

ヒャ〜〜!!!
事故チューじゃないもんね、作為的キッスだもんね!!!
ここで二人のキッスをたっぷり見せつけられちゃうのが、宇文慶(ユーウェンチン)です。現状、ただの面白いおっさん。私この人が羨ましい…本座様と沈嶠に護衛してもらったうえに華麗なキッスまで見れるとか……釣りが来る人生じゃん。

そんなわけで、「あらあら、二人とも仲良しになってきたね〜」と油断してたら、第3章で本座様の裏切りが炸裂しました。おいこらおっさん、である。
この場面の少し前で、沈嶠が晏無師との関係を「友人」だと認識している、というやりとりをしたせいで心が乱れちゃったのかな…?

『千秋2』Kindleのブクマ。読み返すたび心がヒリヒリする…


沈嶠は沈嶠なので逆境に猛烈に強くて、不当に貶められた状況からどんどんパワーアップしていくんですが、今度は晏無師が凋落していくんですよね。

2巻の後半で晏無師がボコられ死にかけた挙句、人格が分裂(?)する憂き目に遭います。これがもう尋常ならざる状態で……晏無師の中に晏無師とは言い切れない人格が幾つか存在してる。なんやこれクリミナルマインドですか? 驚きました。

晏無師が今の晏無師になったのは過去に大きな出来事があったのだろう、諸々の想像が膨らむね〜ってところで2巻が終わりました。しかも1巻で沈嶠を裏切ったキャラも暗躍してる。ヒィン、心配が尽きない。

3巻はどうなるんでしょうね?(呉聖華先生の翻訳スピードがすごく速いので、先生の心配をしつつ、やはり3巻もぜひなる早で出していただきたい🙏)

本座様はそろそろ沈嶠に落ちとくれ。
(心の奥底ではとっくに陥落してると思いますが)

江湖に足を踏み入れて一年。沈嶠はようやく、相手次第で取るべき手段を変えることを身に付けた。

『千秋2』 第7章

沈嶠の一年。

狭い世界から否応なく叩き出された沈嶠が、いい意味で方法を選ばなくなったり、人を責められるようになったりしていくのが感慨深かった。
親友の裏切りに遭って毒を盛られた事実をずっと胸に秘めておくのかな?と思いましたが、その友を公然と批判したシーンはめっちゃかっこよかったです。

『千秋』、登場人物が変化していく様が最高に面白い小説でした(頭を怪我した本座様含め)。


◆隠れたお気に入りキャラ◆
白茸ちゃん。純粋な悪役かと思ってたら、だんだん良い子になってきて憎めなくなっきた。この先、沈嶠のために命を落としやしないか、ちょっと心配。悪いこといっぱいしてきただろうけど、本気で邪悪かっていうと違うよね。


*ヘッダー画像:ゴリラの素材屋さんからお借りしました。
沈嶠はやはり青竹のイメージが強い🎋


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