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バンコクからの旅日記 (8) スリランカ|高所恐怖症がシーギリヤロックに登る

2014年12月。初めてスリランカに行きました。予備知識はほとんどなく、紅茶の産地だったな、というくらい。行ってみてこの日本の東北地方ほどの面積の小さな島国に驚くほど多くの高度な文化遺産が存在することを思い知ったのでした。

空港のあるコロンボから北上、島の中心部付近にあるシーギリヤへ。
おそらくスリランカで最も有名な場所です。

世界遺産シーギリヤロックは高さ195メートルの切り立った岩。
5世紀、シンハラ王朝時代の王の息子カッサバ1世は、クーデターを起こして父である王を殺害し自分が王位に就いた。
しかし、その罪の意識と親族による新たなクーデターを恐れるあまり断崖の上に理想の王宮築いて引きこもってしまった。

シーギリヤロックが天空の宮殿と言われる由縁です。なんとも狂気に満ちたはた迷惑な王様。部下や建設に携わった民衆はさぞや困惑し、苦労したであろうなぁと思いを馳せてしまいます。人間の強さと弱さの象徴みたいな場所です。

そしてこの岩山を登ることに。うへー、マジですか。

岩肌に張り付けられた心もとない階段。
高所恐怖症にはまさに地獄の行進となる。
我々の前には大柄のロシア人グループ。奴らがもし足を踏み外して落ちてきたらこっちも絶対助からない。。。
ゼーゼー言いながら登りつつそんな悪夢が頭をよぎるのでした。

疲れたら素晴らしい景色をみて元気になりましょう!とガイド氏は言いますけど、余計に足がすくんで背中はぞわぞわするし泣き言しかでない。

岩の中腹付近には「シーギリヤ・レディ」と言われる女官達の壁画が残されています。1400年以上前の物なのになんと鮮やかな美しさ。


当初は500体あったという壁画は現在18体しかないそうですが、これからも大切に遺してほしい。

しばし、壁画の美しさに見とれた後はまだまだ続く苦行の登山。

ジャングルの合間からかつての王都シーギリヤの名残が見えます。

この日は風もなく穏やかな天候。それでも登るにつれ増していく恐怖感。
これで強風だったりしたら耐えられん。まだですかぁ。

ようやく平坦な広場にでました。ここがライオンテラス。現在は足の部分しか残っていませんが、建設当時はライオンの頭があって王宮への入口になっていたそうです。足と爪の大きさからかなり巨大なライオンだったであろうなと想像できる。

最後の階段がこれまた難関。スタートから全部で1200段登りました。

やっと到着。頂上には宮殿の後が残されています。カッサバ王はここから下界を眺めつつ現実逃避の豪奢な生活をしていたそうな。狂気の王と呼ばれても仕方なし。


あまりにも壮大な引きこもり生活の場。

驚いたことに犬が数匹のんびり寝ていました。キミ達、あの階段を昇って来たの?

そして下りはまたまた苦行。大勢の観光客が訪れる場ですが足場のメンテナンスってどの程度なされているのか不明です。恐ろしくて何も見ずに降りてきました。

カッサバ王は17年間在位していましたが、弟のモッガラーナ1世の軍勢に攻め込まれて自害。シーギリヤが陥落したのが495年。日本の平城京よりも前の話です。
その後、シーギリヤは修道院になったりキャンディ王朝の統治下に置かれたりしましたが、ほとんど放置。
19世紀にイギリス統治下時代になって英国人の探検家に発見されたとのこと。
アジアの遺跡はヨーロッパ人達によって再び世に出るケースが多いのですがアンコール、ボロブドゥール、パゴー、そしてシーギリヤ。ジャングルの中から最初に見つけた人達は腰を抜かしただろうなと思ってしまう。

ようやく地上について休憩していたら頭の上の木でリスが無心で木の実を食べていました。それを猿が狙っている。

リスは気づいているのかいないのか、知らん顔。
分けてくれないんだよーと猿が言っているみたいで面白かった。
猿は諦めて去っていきましたとさ。
(2014年撮影)

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