第4回 「思い出の一冊」 インタビュー
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第4回 「思い出の一冊」 インタビュー

黒田義隆 黒田杏子 
大学卒業後、夫婦で本屋を始める。「感じる、考える人のための本屋」をテーマに、名古屋市千種区で「ON READING」を営む。新刊本、リトルプレス、古書、C D、雑貨を取り扱う。ギャラリーを併設し、展示会やワークショプも開催している。

― PONYO BOOKSの3回目のインタビュー後に、感じること、考えることの大切さに改めて気付いたんですが、その時ON READINGさんも「感じる、考える人のための本屋」ってお店に書かれていたことを思い出して、今回お話を聞かせていただきたいなと思いました。まず、そのことを掲げたのはどのような理由からでしたか?

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義隆 実はこのコンセプトは途中からつけたんですよ。当初は、作り手の人の温度が伝わる本をセレクトしている本屋とか、紙媒体のコミュニケーションというようなことを掲げていたんです。僕たちはあまり、実用書とか、こうしたら成功します、みたいなビジネス書に興味が無くって。それよりも読んで自分の心が動かされたりとか、そこから新たな問いが生まれたりとか、そこで答えが出るんじゃなくてそこから何かが始まる、自分で答えを見つけようとするっていうきっかけになるような本が好きだったんですね。こういう時代だからこそ、そういう本を手渡していきたいなと改めて思って。そこでそういうフレーズになったんです。

杏子 一般常識や、社会規範みたいなものの前で、思考停止しないで一つひとつ解きほぐしていきたいなと思った時に、やっぱり頼りになるのが本だったりするんですよね。例えば会社とか親戚のおじさんになんか言われてモヤついたりとか、人間関係に悩んでいたりとか、そういう時に本屋に行くと、 例えば夏目漱石やドストエフスキーの小説の登場人物も同じことで悩んでいたんだなあとか、行ったこともない国の歴史について書いてある本に、ここの国の人達はこういう考え方するんだ!みたいなブレイクスルーがあったりだとか。その時に自分にとって必要な本や一文を、人は本棚の中から見つけると思うんです。今自分が何に興味があるのかとか、どういうことを考えたいんだろうっていうのを本棚の前で見ていると、自然と手がのびていくような。そういう入り口をたくさん用意しておくことが、本屋としての役割だと思っています。大きい店だったらいっぱいありすぎてそこに辿り着かないかもしれないけど、これくらいの規模だったら全部の背を読めたりするから、手に取ったり出来やすいかなと思っています。

義隆 感受性というのか分からないんですけど、なんとなくいいなとか、なんとなくこれ好きだなっていう風に思う力が最近の人は弱くなってきている気がしています。それは色んな要因があると思うんですけど。例えばSNSでいいね!ばかりを求めてるのって、全部他人の評価じゃないですか。自分の評価よりも他人の評価を求めすぎていて、自分の純粋なその時の感動とか何を感じたとか、そういったものがどんどん弱まってきているんじゃないかな。全てが受け身すぎて、このままだと生きていくために本当に危ないなと思うんですよね。人がどう思うかとか、空気を読むとか、「私」という個がどんどん失われていってしまっている。世の中が全体主義に傾いてきているのは感じますよね。だから自分で考えて、感じてっていうことをして欲しいなというメッセージも込めて、敢えて挑発的なキーワードではあると思うんですよね。「感じる、考える人のための本屋」って。

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第4回 「思い出の一冊」 インタビュー

PONYO BOOKS

200円

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