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自信満々に決めたことを撤回する。自分で決めたことであっても。

 撤回というのは悪いことではなく、むしろいいことである。ある決めた物事について、それを途中で取りやめるのを撤回という。
 撤回はそれまでにかけたコストやリソースや気持ち、そういったものを無駄にしてしまう行為だ。だから撤回は嫌われる。どうせなら最後までやりきってしまえばいいではないかと、その責任や後始末はどうするのかと。

 撤回に対するそのような考え方が、私達を物怖じさせる。何かをやりはじめたら、進み始めたら、もう後戻りはできないのだと、この世はそういうものなのだと思わせる。それはある種の諦めである。
 私達は勝手なイメージで撤回を語る。撤回は悪いと決めつけてしまう。だから私達は撤回から自分を遠ざける。それをしてしまうのは悪いことだと考えるからだ。

 しかし、撤回は良いことである。
 そして私達が私達のためを考えるのなら、積極的に取るべき1つの選択肢である。撤回することで、まずその計画の間違いを認め、前向きにやり直す入り口に立てる。そしてそのやり直しの計画を作り、実行することに、私達は意欲的になれるのだ。
 ここにおいて重要なのは「より良いもの」に対する前向きさと、挑戦心である。新しく価値あるものは、そのような模索によって私達の目の前に現れる。反対に、ただその場にとどまり続けること、しがみつくこと、踏襲すること、妥協することからは、新時代の価値は見出されない。

 いつでも、常に時代や世界が更新され続けていくからこそ、撤回は私達に大きな意義をもたらしてくれる。それについていくだけの心構えをもたらしてくれる。だから撤回に、もう私達は物怖じしている暇はない。撤回はしなければならない。むしろ撤回することを織り込み済みで、私達は、自分自身と、他人と、そして社会を考えていかなければならない。

 撤回は悪いことではなく良いことだ。少なくとも、それが充分に許されるような前向きさを、私達は自分と自分の周りに持つべきなのだ。

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