別に、ツンデレについて知ってほしいわけじゃないけど③ 「ツンデレの強み」

※①「ツンデレの本質」はこちら:
https://note.com/kawausowright/n/n42b645d59dae

※②「3種のツンデレ」はこちら
https://note.com/kawausowright/n/n8d4ce0733943

「ツンデレ」は、テンプレキャラとしてものすごく有名だ。
誰もが知っているということは、それだけ魅力的で、好かれているということになる。
だからこそ、このキャラ属性をきちんと理解して物語に登場させることで、創作者にとって心強い味方となってくれる。
ツンデレは本当は優しい子なのだから。

そのための3つのポイントのうち、ふたつ――
・ツンデレの本質は「『好き』という気持ち」ではなく、「『嫌い』という態度」にある。
・ツンデレには3種類、「時間的」「空間的」「自覚的」のタイプがある。
(※詳しくは、冒頭のリンク参照)

これらを踏まえた上で、では最後のポイント。
「ツンデレの強み」とはなにか?

ジャンルを問わず、様々な創作物にツンデレは登場してやまない。
このキャラ属性をこれほどの地位に押し上げたのは、主に、以下の3つの強みがあるからだ。

・安定している
・わかりやすい
・感情移入しやすい

……まさに王道のキャラ属性らしいと言える。

まず、「安定している」とは、つまり完成されているということだ。
ツンデレはテンプレキャラゆえに、そのキャラクターの中に、自身を輝かせるシチュエーションやシーンが既に備わっている。
つまり、テンプレエピソードを、「ツンデレ」という時点で持てるのである。

なにか素直になれなかったり、それについて後悔していたり、思いがけず優しくしてしまって慌てて取り繕ったり、うまく想いが伝わらず肩を落としたり……
まさに王道らしいエピソードが、自然とついてくる。

だからツンデレは、扱い方に困らないし、それを活かすシーンやシチュエーションができないということがない。
いつも同じだけのパフォーマンスが出せるため、安定しているのだ。

次に「わかりやすい」というのは、これも王道のキャラ属性であるからこその強みである。
つまり、現代はツンデレについて、誰もが知っているという状況なのである。
(少なくとも日本では)
なので、ツンデレキャラを出した場合に、コンテンツの受け手にわざわざ説明する必要がない。自己紹介エピソードなどが必要なく、「別に、あんたのためじゃない」などのセリフ一発で、そのキャラのかなり多くの部分を理解してもらえる。

これはとても便利だ。

理解してもらえているということは、少なくとも拒否反応が起きにくい。既に知っているキャラなのだから、応援もしてくれやすい。
だから、ツンデレは強い。「わかりやすい」というのは、大きな武器である。

最後に、「感情移入しやすい」について。
これは、ツンデレだからこその強みだと言える。
なぜなら、人間の誰しもが、「素直になれない」とか、「つい強がってしまう」とかの経験をしているからだ。
ツンデレは、人間のそういったよくある経験を、テンプレとして擬人化したキャラクターである。
だから、その言動やキャラ設定に共感しやすい。

また、ツンデレは「本心とは逆の行動をとってしまう」というキャラであるから、見ていてハラハラするのである。
なかなか思うようにいかない、すれ違ってしまう、どうしてそこでそんなこと言っちゃうんだ…!
ツンデレを見ていると、こうやって肩透かしをくらったり、簡単には期待通りにはいかなかったりする。
テンプレキャラゆえに、そのことをわかっているはずなのに、夢中になってしまう。
ついつい、ツンデレに肩入れしてしまう。

そういうこともあって、「感情移入しやすい」のだ。ツンデレ現象は現実においても普遍的であるがゆえに、強い。

以上、ツンデレの強みは「安定している」「わかりやすい」「感情移入しやすい」という3つだ。

ツンデレの本質および、主たるタイプと合わせて、この強みをもきちんと理解すれば、あなたのツンデレはいっそう輝きを増すだろう。

テンプレキャラは、有名であるがゆえに、どうしても「理解した」つもりになってしまいがちである。
けれど、それはキャラクターに対して、背を向けているのと同じである。
そんな状態で、創作をうまくやっていけるはずはないだろう。

その点、人間は誰しも心の中にツンデレがいるものだ。
だからあなたのほうは素直になって、その自分自身と向き合い、ツンデレを扱ってあげてほしい。
そうしたとき、あなたはツンデレとうまくやっていけるだろう。
最初はそっぽを向いていても、必ず協力してくれる。それがツンデレなのだから。

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