悪役はとてもシンプルになった。いつからか
複雑な悪役は流行らなくなった。単純な悪役こそ志向。悪はシンプルに悪であるべきであって、その背景に汲み取るべき事情などいらない。どんな理由があろうとも悪は悪なのだから、知る必要がないのだ。ならば最初から事情などなくていい。
本来、善悪問わずキャラクターはキャラクターだ。そこに違いはない。主人公の仲間だろうが敵だろうが関係のないモブだろうが、それぞれの生い経ちがあって、それぞれの生きた意志がある。それが当たり前だ。
でも、そんなの面倒である。そんなことを知るのは無駄だ。だってどうせ悪は敵だから、そいつらは悪いことをして滅ぼされる運命なのだ。正しいキャラクター達の正義の鉄槌によって無惨に散り、その報いを受けるべき存在なのである。
ならば事情など、知ったことではない。需要がない。そのため悪という設定はどんどんシンプルになっていき、特に理由なく悪行をする「悪役」が生まれた。
舞台装置。悪のキャラクターはそこに行き着いてしまった。かつてキャラクターであった存在の成れの果て。事情も理由シンプルに、欲望に忠実、プライドも高い意識もなく、いたずらに悪行を繰り返す舞台装置。
主人公ら善を引き立たせるためだけの存在。それが今、シンプルに求められる悪役の立場である。
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