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今回のおすすめ本 標野凪『こんな日は喫茶ドードーで雨宿り。』

みなさんこんばんは📚
今回おすすめするのは、標野凪『こんな日は喫茶ドードーで雨宿り。』という本です!

 本作の主人公はある街の奥にひっそりと佇む小さなカフェ〈喫茶ドードー〉の店主「そろり」。このお店のコンセプトは「おひとりさま専用カフェ」。彼のもとには日常生活で疲れたお客が訪れていきます。そこでそろりはアドバイスを行なっていくのでした。

第一話 君が正解のオムレツ

 家電製品の取り扱い説明書を作成する仕事をしている米沢夏帆は、時代遅れの風習が残る勤務先に不満を抱いています。仕事は速く行動するもののミスが目立ってしまい、その度に過去に自分が言われた言葉を思い起こしています。そんな中でも五歳歳上の久田絵里奈とは懇意でしたが、絵里奈は結婚のため仕事を退職しフリー契約になります。人員補充としてやってきた新人との接し方がぎこちない夏帆。そんな時に以前見かけた〈喫茶ドードー〉に夏帆は向かっていきます。
 そろりは子供の頃からせっかちな性格によって、人より速く行動するもののミスがでてしまうことに落ち込む夏帆にどのようなアドバイスを行うのでしょうか…。

第二話 傷つかないポタージュ

 父の四十九日の法要を終えた三嶋和希は、生前の父との思い出を海に行って思い出しています。一週間後にギャラリーに向かうと、仕事で知り合った人たちは同情の言葉をかけてくれますが、和希にとってはむしろ傷を抉ってくるような苦しさを覚えるのでした。和希はそんな状況から抜け出し以前入った〈喫茶ドードー〉へ向かっていきます。
 気遣ってくれた言葉と自分の気持ちが相反することに悩む和希に対して、そろりはどのようなアドバイスを行うのでしょうか…。

第三話 時を戻すアヒージョ

 自然素材を使った雑貨やコスメを扱う会社に勤務している徳永夕葉は夫婦で生活を送っています。子どもを授かることを諦めていましたが、夢で見たり親しい年下の子が子どもを授かったりする中で色々考えています。会社では問題が発覚し、夕葉は退職を勧告されてしまい、その理由を聞いて咄嗟に傷つける言葉を出してしまいます。そんな折〈喫茶ドードー〉に足を運んでいくのでした。
 取り返しのつかない言動をしたと後悔する対して、そろりはどのようなアドバイスを行うのでしょうか…。

第四話 自信が持てるあんバタートースト

 個人経営のレストランやカフェに対して食器などの卸す仕事をする鈴元朱莉は、生まれつき自身の顔にある小さな痣を気にしていきています。そして周囲が自身に対して適当な扱いをしてくることで、より見た目に対するコンプレックスが高まっています。そんな折、おひとりさま専用カフェ〈喫茶ドードー〉を思い出し、人目を気にすることなくお腹を満たすお店を求めて足を運んでいくのでした。
 自分の見た目、他人の視線を気にして自信を持てない朱莉に対して、そろりはどのようなアドバイスを行うのでしょうか…。

第五話 春一番のコトダマ

 本話は、これまでのお話とは異なり総括的なものとなっています。そろりのアドバイスによって物事を捉える角度を変えてみていった登場人物たち。悪意の有無にかかわらず、人と関われば傷つける側になったり傷つけられる側になったりします。そして厄介なことに消したい記憶ほどこびりついてしまうものです。そんなマイナスな出来事を解消できる何かを持っておけたらいいですよね。

読後感想

 本作は前作を踏まえて書かれているため、前作を読んでおくことをおすすめします。本作は参考文献にマイクロアグレッションの本が挙げられていることからも、「無意識に他人を傷つけている」ことに気づく契機となる内容になっていると思います。自分の中では褒め言葉として発した言葉も、受け取り手にとってはコンプレックスだったり否定されていると感じたりすることもあります。特に会話の中では深く考えずに言葉を発してしまいます。即座に変えていくのは難しいかもしれませんが、一歩一歩改善していけたとしたら、他者だけでなく自分にとっても快適に過ごせるような環境に変えていけると感じます。

ぜひお手に取って読んでみてください☕️

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