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#読書
聖水少女20
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https://note.com/kawatunaka/n/nae0353b19416
カクヨム
https://kakuyomu.jp/my/works/1177354054894480403
母と父の言い争う声が聞こえ出したのはそれからすぐだった。父が罵り、母が反するという事が延々と繰り返される不毛な時間が長く続き、終いには互いの欠点を論え激昂するという出口の見えない無益な傷つけ
聖水少女19
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https://note.com/kawatunaka/n/n6baf9bf09f97
カクヨム
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894480403
変わらず部屋は暗く静かであった。
香織は依然、布団の中で一日を過ごす生活を送っている。人として入浴と歯磨きは欠かせず不潔ではなかったが、櫛を入れない髪は乱れ、砥がれない爪は形が覚束ない。
聖水少女18
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https://note.com/kawatunaka/n/n1a1bf2c99109
カクヨム
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894480403
母に言われた通り、天花はゆっくりと菓子を頬張り和かに笑う。
「いや、味わってみると確かに、大変美味しいです」
「そうでしょう。舶来物なんですよ」
落ち着きを取り戻した母は笑顔を
聖水少女17
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https://note.com/kawatunaka/n/n9c891cd58407
カクヨム
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894480403
香織の部屋の前には昼食の皿類が盆に乗せられて出されていた。綺麗に食べられてはいるが、決して食欲があり喜んでいただいたわけではない。母の作った料理を残すのが忍びなかったため、無理由来胃に流し込んだの
聖水少女16
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https://note.com/kawatunaka/n/nd7ea7d7adbca
カクヨム
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894480403
三人分用意した食卓に座るのは二人。香織の姿はない。
「叱った方がいいんじゃないか」と父親は言ったが母親は賛同しかねるようで、「もうちょっと」と諭すように制した。
「天岩戸じゃないですけどね
聖水少女15
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https://note.com/kawatunaka/n/ne1b69338dad4
カクヨム
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894480403
年頃の少女が衆人に囲まれた中で粗相をする場面を想像していただきたい。
同じく年頃の男子が好気の目で舐めまわし、女子からは侮蔑と嘲笑の的にされる。無遠慮なる視姦を一身に受け、どれだけの人間が心に傷
聖水少女10
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https://note.com/kawatunaka/n/nffa19fe517fa
カクヨム
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894480403
心機一転とはまさにこの事であろう。
「椿さん。お昼、一緒にどうかしら」
夏場に落ちる深い影のような声は香織である。彼女が自ら天花に向かって昼食を誘ったのだ。周囲は口にこそ出さなかった
聖水少女9
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https://note.com/kawatunaka/n/n4f6f200a37b0
カクヨム
https://kakuyomu.jp/users/taka1212384/works
陽が暮れて雨が止み香織の涙も止まっていたがそれは流すものがなくなっただけであり実際には相変わらず泣いているのであった。
嗚咽の中に紛れるか細い声はしゃがれ、床の敷布は所々水でもかけたのかのように濡れ