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難しいことを考える時も楽しく柔らかく~ミュージカルは一緒に観に行った人の表情も楽しむ~

 ミュージカルと言えば、訴えたい言葉を心揺さぶる音楽に乗せて表現するもので、その歌や楽曲に心揺さぶられる。
 だけどそれにしてもストーリーの中に曲を散りばめるのでなく、ほぼ音楽を中心にした舞台もある。私が観たものの中には、タップが中心だったり日常生活の持ち物で音を鳴らすものもあった。

 「アメリカンユートピア」もストーリーはない。

 私のツイッターでは、映画好きな方たちが盛大に騒いでいるので、どんなものか一度観ておきたかった。

 デヴィッド・バーンは、1980年代前後にトーキングヘッズというグループで活躍していた人。もう60代後半。

 そんなおじさんがスーツ姿で真面目に語り、歌う。メッセージが押し付けがましくない一因に「裸足」は一役かってそうだ。

 舞台では他にも様々な人種、国籍の人が楽器を鳴らし、踊り、歌う。

 ノリの良い音楽はジャンルを超えていて、歌詞には心を揺さぶるだけではない考えさせられるもの。訴えかけてくるものがある。

 

 人の脳って、生まれた時からどんどん不必要な情報は捨てられ単純化されていく。記憶だけじゃなくて。
 だからこそ自分で考えて、でも自分の中だけで何事も完結せずに人とつながりましょうよ。

 そんなメッセージを私は受け取った。

 

 社会的メッセージもこもった骨太なミュージカル。
 だけど押しつけがましくもなく、どう考えるのが正しいと示すものでもない。物事の判断は、0か100かだけじゃないんだもの。
 目の前の日常が過ぎていき、世の中の大きなことは流れていく。世界はどんどん変化する。
 私たちは無力かもしれないけど、一人ひとりの声は大きくなることもある。それを最初から諦めずに、集めていきましょうよ。

 真摯に柔軟に、自分の頭で考えて、声を出して。そして人の声に耳を傾けてもみましょう。と。

 歳を重ねて考えが固まってしまうなんて言うけれど、20も年上の人に変革と柔軟を教えられた。


 こんなご時世じゃなきゃ舞台の近くで一緒に歌い踊りたいものだねと夫と後で話した。

 正直に書くと、私はミュージカルを観ている瞬間は、ストーリー以外の物が気になるから没入はできなくて。人が舞台の上に出たり入ったりするし、息遣いや音がその瞬間の物として聞こえてくるから、没入感と言うより一体感。

 だから感動の種類が映画とは違う。映画は完全に登場人物たちに意識が行くけど、ミュージカルって共に観ている人の心の動きに意識が行ってしまう。

 夫や友達だったり、周りの観客だったり。

 私は何か心を動かされるようなことがあると、すぐ言葉に出して、できれば声に出して伝えたくなる。だから文を書いているのだけど、それ以前にまず共に分かち合った人と言葉を交わしたくなる。あふれる思いを自分の中に閉じ込めていられないのだ。破裂しそうで!

 ミュージカルは、夫と観に行っている機会が圧倒的に多い。いつもいつも、夫が心動かされているのがわかる。じっとしていても気配で。観終わった後の様子で。感想で。その度に「一緒に行って良かったなあ~」「夫とこれを分かち合えて良かったなあ」としみじみする。


 今、車の中でかける音楽はこのサントラ。たった一回観ただけなのに、覚えている曲は意外と多い。

 楽しいメロディや躍動感が心に残る、でもメッセージは骨太なミュージカルだった。


#映画 #感想 #アメリカンユートピア #音楽 #ミュージカル #メッセージ

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