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ほんのり秋の入り口

すっかり冷えてきた外気に
歩いて温まってきた身体が
深くゆっくり呼吸をくり返す

冬になったら枝がむき出しになって
見える野鳥も
今はまだ葉が落ちていなくて
よく見えないけれど

少し落ちた葉の間に
シジュウカラを見た
一羽だけ見えた

気温が下がってくると
さかんに鳴く声が聴こえる

ツピーツピーのさえずりは澄んでいて
秋や冬の空がよく似合う

足もとのどんぐりは
今年はよりたくさん

こんなにあるのは
まだ園児たちに
拾われていないのね

原発事故の後は
拾ってはいけなかった
落ち葉も触らないように
子供たちには話していた
何年も

どんぐり見ると
いつも思い出してしまう

あの頃の窮屈さ
少し息が苦しくなる

あれも触ってはダメ
ここで遊んではダメ
悲しい秋だった

今はこの辺り
すっかり大丈夫そうだから
今年も園児たちが
先生に連れられて
どんぐりを拾いに来るはず

油断するとパチパチ
踏んでしまうから
つま先立ってぴょこぴょこ
跳ねるように歩く

大切に
割れないように
踏まないように


秋の始まりを
心地良いと感じられるヨロコビに

こころがほんの少し軽くなる

世の中はつらい話が多くて
一刻も早く落ち着いてと空を仰ぎ


一面の紅葉はもう少し先だと
レンズを向ける

奥のイチョウもいろづいてきた


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