あれから9年経ったキミは、受験生となって独り立ちしようとしている
1月16日、17日と息子が共通テストを終えて、志望校にまっしぐらの最中。
共通テストは、二次試験のための足切りに合わなければ大丈夫と、息子は平常心のようだった。二年前、息子が高校一年生の終わり頃。私が書いて載せてもらったものを思い出す。
ほぼ日刊イトイ新聞「今日の小ネタ劇場」に寄稿したもの。
少し修正入れつつ一部抜粋する。
高校生になった息子。
中高一貫校だから、
ずーっとダラダラ過ごしてきて、
いいかげん勉強しなくちゃと
最近重い腰を上げ始めたところ。
そうなると、協力するよ、と
こちらも心構えが変わってくる。
今年、試験監督の夫を車で送ると、
たくさんの受験生たちが
初めて自分の子供と重なった。
まだ可愛くて仕方ない年頃。
親御さんたちの心配顔も目に入る。
みんな、頑張ってね。
心から応援の気持ちでいっぱいになった。
(ペリーニョ)
前半をあえて削ったのだけど、そこにはこの記事にいたる説明をしていて。
この記事のさらに何年も前の2012年だったかに、伏線があって。
その記事も一部変更して載せる。
当時の限定コーナー「ほぼ日&コドモ」より。
夫は仕事柄、毎年センター試験の監督をしている。
今年の始め、受験生たちの試験監督をしながら
ふと、「自分の息子が、
今までと同じだけ一緒に過ごしたら
ここにいる受験生たちと同じ年齢になるのだ」
と気付いたらしく、
その日の晩に、そんなことを話してくれました。
息子は9歳です。
今住んでいる所は田舎で、
大学は一つしかありません。
息子が大学に行くのなら、
その大学に行かない可能性の方が高いので
多分、一人暮らしをするのだろう。
わかっていたけど、
ああそうなんだ、と改めて実感すると
胸にせまってくるものがありました。
「違う大学に行くと、
お父さんとお母さんと離れて
一人で色々やっていかなくちゃいけないね」
と話す夫の前で、息子は涙を流し始めました。
両手で目を拭き拭き「さびしい‥‥‥‥」
と泣く息子を見て、
私も耐えられなくなりました。
きっとこの後、息子は思春期や反抗期を経て
今みたいに親とベッタリじゃなくなるだろうし、
会話も減るでしょう。
年数にしたら、ちょうど倍くらいだけど、
一緒に過ごす時間は
きっとずっと少なくなるんだろうな。
夫が
「寂しいね。お父さんも寂しいよ。
でも○○君(息子)が泣いてくれて
なんだかうれしい気もするよ。
お父さん、きっとこの日のことを
ずっと忘れないよ」と言うと、
私も息子も、
涙が余計に止まらなくなってしまいました。
まだ9歳。まだまだ先はあるのに。
でも、今まであっという間に感じたように、
この後も、いやこの後は
もっと早く感じるのかもしれません。
(ペリーニョ)
そう。9年経ったのだ。
あっという間に。
毎年毎年、土日に夫を朝早く送り、試験が終わって数時間後に迎えに行く。
せっかくの土日だから私も寝坊したいけど、自分が車を使いたい日はそうもいかない。夫が車を下りると、受験生たちに混じっていく背中を「行ってらっしゃーい」と見送る。
夫は「息子クンが試験の日は、僕は出ちゃいけない(その年は関わってはいけない規則)から、その年、休めるんだ!」って言う。でも夫が休めても息子を送るために結局送らないといけない。私が休める年なんかないんだー!
と思ったけど今年、県内出張から帰ってきた夫が迎えに行ってくれて、2日目は送ってくれた。
理系だから寝坊して良かったし。
そうやって現実は、想像していたものとは違った。
けっきょく、一番心配なのは二次試験。このご時世で新幹線での移動。ホテルでの宿泊。試験会場までの移動。食事。飛行機での移動もあるかもしれない。
最初は私がついていくつもりだったけど「えっ? ついてくるの? 僕一人で良いんだよ」と言う。
「試験以外の余計な心配するの、いやじゃないの?」と聞いても「そんなに」と言う。
いやいや、心配じゃないか。
でも私が行くことで、むしろ息子の足手まといになったり、夫や息子に対して感染リスクが上がる可能性を思うと、一人で行った方が良いのかもしれない。
実は試験以上に感染症の方が心配。
感染状況によって変化することもあるため、度々、大学側からの情報もチェックしなければならない。息子はそれも確認しながら、自分で出願作業をしていた。もしかしたらこの一か月くらい先は、また状況は変わるかもしれない。今年は、余計な心配までたくさんしなければならない。
息子は今も時々「寂しい」と言う。でも自分でその寂しい気持ちを乗り越えて、その先の希望を見てもいる。そして夫も「息子クンは、自覚があるから大丈夫だよ」と言う。こんなにガツガツしていないのに? めっちゃ「鬼滅の刃」読んでるのに? お笑い番組観て笑い転げてるのに? ほんとに??
しばらく二人の表情を交互に見て、段々気持ちが落ち着いていった。息子もそう言うなら。独り立ちする第一歩なのだろう。
応援するしかない。
親から離れていこうとする息子が、頼もしく思える。
どんな結果でも良いよ! 行きたくて目指す大学なんだから。高校一年生の頃は対象にもなっていなかった、遠かった存在の大学。高校二年生の頃には「どうしても目指したい」と、私を説得したんだ。そりゃわざわざ受けに行きたいよね。特に今年度は、バリバリ頑張ったように見えなくて、怠け心が勝ってしまっていたけど、存分に自分を試しておいで。
10歳くらいまで、毎日のように泣いてばかりいたのにね。
自分で決めて、自分で行動できるようになったキミを、父さんも母さんも、尊敬しているよ。
読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。