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こまめに好奇心を刺激していたらきっと大丈夫

 気持ちが落ち込んだり、やらなければならないのにその気にならなかったりする。ホルモンや気候による自律神経のせいもあるけど、映像にしても言葉にしても何かを目にしてもういやだ、どうしてもいやだ、って動きたくなくなる日もある。

 そんな日にはそれ以外の好きな物に目を向ける。私の場合は映画を観る。漫画を読む。音楽を聴く。歌を歌う。人と話をする。そうやってそこのセリフや言葉に励まされる。
 そうじゃなければ自分の好きな勉強で手を動かす。最近は絵で手を動かす楽しみもできてきた。好奇心が刺激されてやっぱり心も動く。
 それさえも気持ちが乗らないと、ゲームをする。もうなんにも考えない。違う世界に没入してその世界を楽しんでしまう。考えるとしたら、そこで自分がどうふるまうかだけ。作戦を考えるくらいかしら。

 そうやっていると、自分の気持ちが底を打って、何となくまた浮き上がってくるのを感じる。

 新年明けて早々、noteを開けるのもイヤになってしまって、ちょっと目にしても何かしら自分が落ち込むように自分で気持ちを仕向けてしまい、しばらくダメかなと諦めた。

 書きたいけどエンジンがかからないわ。
 こんな時は、そこから離れていたら良いと軽く考える一方、自分など世の中に不要とすら気持ちの底をさまよってしまう。
 多分更年期症状の激しいやつだ。困ったもんだなと苦しんでいた時に、ふと思った。

 「ねえ。エンジンがかかる時って比喩で使われるけど、それってやる気が出る瞬間のこと? 動き出す瞬間?」
 夫に疑問を投げかけてみる。
 「そりゃあ捉え方が人それぞれ違うから面白いんじゃないの?」
 「どっちもアリ?」
 「僕はどっちでもアリだと思う。やる気出す瞬間も行動する瞬間も」
 「難しいなあ。エンジンはちっちゃなものなら日常的にかけてるよね」
 「そのエンジンを長くかけ続けるのが必要なことだってあるでしょ」

 ウーン。
 じゃあエンジンがかかるって捉え方、自分の解釈ってどうなんだろう。

***

 19歳の息子の、ちょっと前の言葉を思い出した。
 「あの人の行動力ってすごいよね」
 夫も私も知っている人の話をし始めた。珍しいな。好きじゃないタイプだと思っていたのに、そんな風に客観視するようになったんだ。
 私もその背景を別として、その行動には感心したし、かと言って取り立てて称賛するわけでもない。ただその彼が楽しそうにしているから「へえ。そんなに好きなんだ」と微笑ましく見ている感じ。
 ウン、ウン、そうだね。と息子の言葉をただニコニコ聞いていると
 「だって、すごくない? そうしようと思ってから行動するんだよ」
と繰り返す。
 お。もっと反応がほしいんだな。
 「僕はあんな風にできるかな。そうしたいなーって思ってから行動に移せるかなあ」

 なるほど。それが真意ね。

 わかるよ。今後何をしていくのか。将来どんな風に暮らすのか。見えないんだよね。今の自分じゃ、けっこう怠けた生活を送っていてこんなんじゃあ今後好きなこと見つけて暮らしていけるのかな、見つけたところで動き出せるのかなって不安なんだろう。

 19歳当時の私より、自分の行く方角がずいぶんハッキリしているのに。そうやって何度も言ってきたけど、息子は「お母さんが思っているより、何がやりたいのかハッキリしていない」と言う。
 確かに息子は方角がハッキリしているだけで、具体的な道はまったく決まっていない。
 でもそんなに具体的に決まっていなくてもまだ大丈夫なのにな。
 いくら言っても本人の不安が解消されないのもまたわかる。

 しかも言っている私がすべてにおいてエネルギーがギリギリの低空飛行の日常。背中で語れるほどの経験も全然ない。20代の頃は行動力があって試してみたけどね。今につながっているものなんて特にないように見えるだろうからね。きっと息子から見たら説得力ないんだよな。

 今の私から何か絞り出そうとするならば一つだけある。


 母さんは、文章を書くのが好き。
 これは「続けよう」と心がけているものではなくて。気持ちが揺れる時だらけだけど。日々ギリギリのエネルギーだから、自分の文章への気持ちが何かにつながっているわけでもない。この場で色んな人に迷惑がられている存在なんじゃないかと被害妄想に陥る日も、いやそれほどですらないんじゃないかと取り柄のない自分に落ち込む日もしょっちゅうだ。

 でもやめられない。落ち込んでもまたエンジンかかってしまう。けっきょく始めちゃうし、続けちゃう。
 好きだなあーがホンモノだと、苦しみながらでも動ける。人に認められなくても。
 今後どうなっていくかなんてやっぱりわからない。
 ただずっとちっちゃなエンジンをかけ続けているから、何か大きな機会があれば割とすぐ動けるんじゃないかなあって、そこだけは自分を信じている。

 息子はまだその大きな出会いがないだけだと思うんだ。
 いつ出会えるかなんてわからないから不安になるんだよね。でもやっているうちに出会える瞬間があるから、何となくやってみたいなーで、試して好きなら続けてみるのも一つの方法だよ。
 今みたいにね。好奇心をこまめに追求してエンジンちょこちょこかけていたら良いんじゃないだろうか。そうしたら、大きなエンジンが必要な時にきっとすぐに動き出せる。


 息子の不安に寄り添いたいと思っていたら、今の自分を励ますきっかけとなった。

 根拠がないように思えるかもしれないけど、きっと大丈夫だよ、息子。そうね、私もだよね。


#エッセイ #落ち込み #エンジン #こまめに #好奇心 #続ける



 


読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。