川崎ゆきお

幽霊探知機

 妖怪博士宅の最寄り駅前の商店街の奥にある古びた喫茶店で久しぶりに幽霊博士と話し込んでいる。  幽霊博士はまだ若い。それで困ったことがあると妖怪博士に相談する…

妖怪のいない一月

 冬ごもりに入った妖怪博士だが、ずっと家にいるわけにはいかない。妖怪封じのお札を貼り替える家が複数ある。いずれも大きな屋敷。これを月参りと呼んでいる。  寒い…

無人の宿場

「雨が降らずによかったですね」 「持ちましたね」 「でも雨じゃなく、この寒さじゃ雪になるかも」 「雨雲と雪雲との違い、分かりますか」 「分かりません」 「でも降り…

新年の蠢動

 まだ大寒も来ていないのだが、吉村は春を感じた。この春は新春。新しい年ということで気温を差しているわけではないが、一月も中旬を過ぎると完全に正月気分は抜ける。…

拾い戎

「相変わらず景気が悪いようだね」 「安定している」 「悪いところで安定しているんだね」 「安定感がいい。素晴らしい」 「しかし生活が安定しないでしょ」 「ああ、不…

流れ坊貧寒

 貧寒という僧侶がいる。これは呼び名なので最初からそんな名をつける方がどうかしている。子供の頃から坊主だ。だから小坊主からのたたき上げ。これがある年代から坊主…