川崎ゆきお

漫画家

青野へ

「昨日はどちらへ」 「はい、出かけていました」 「晴れていましたが風が強かったでしょ」 「そうですね。冷たい風でした」 「どちらまで」 「いえ、その辺をうろうろと」 …

陰獣王

春の良い季候なのに、吉田は体調が悪い。季節の変わり目は過ぎており、既に春本番。  陽気がいけないのかと思い、陰気なことを考える。陰気な方が吉田は元気。まさに陰獣…

花見入道

春爛漫。桜も満開。その名所は人で賑わっている。岸和田も人並みに花見に出た。だが、一人なので、これは純粋な花見だ。見ているだけで、宴会はしないが飲み食いはする。鞄…

不思議な客

「昨日今日の話ではないのですがね」  男は語り出した。 「不思議なことが起こっているのですよ。これは人に言っても信じてもらえない。だから言わないで、じっと我慢して…

夜中の影

藤田は夜中に一度目を覚ます。トイレだ。疲れてぐっすり眠っている夜は朝まで起きないこともあるが、めったにない。  また夜中に二回も三回もトイレに行く日がある。これ…

祭りの準備

準備ができ、お膳立ても済んだ瞬間、妙な間が開いた。吉田はこの間を知っている。何度か体験した間。それはいざ、これからできるという段階になったとき、すくむのだ。そし…