【書評】あまりの怖さに読んだあと捨てました~『墓地を見おろす家』(小池真理子)~
私が今まで読んだ本の中で、一番怖かったのがこれです。『墓地を見おろす家』。紹介するために再読したら、やっぱり怖かった……。
1、あらすじ・ストーリー
哲平と妻の美沙緒・幼稚園児の娘の玉緒の一家は、ある高層マンションを格安で購入し、移り住みます。
なぜ格安だったかというと、墓地と火葬場に取り囲まれていたから。(この時点でもう不穏な空気)
目の前が墓地であることをさほど気にせず暮らしていた一家ですが、次々と不気味な出来事が起こります。
飼っていた文鳥の謎の死。テレビに映る謎の影。意思があるかのように動かなくなるエレベーター。娘の原因不明のケガ。狂ったように吠える飼い犬。無人の地下室から聞こえる物音と話し声……。
そして不気味な出来事はエスカレートしていき、恐れをなした住民たちが次々と引っ越していきます。
哲平一家も耐え切れなくなり、引っ越すことを決意するのですが、妨害としか思えない怪奇現象が次々と起こり……
というストーリーです。
2、私の感想
主人公一家がこのマンションを出られるか、が最大のポイントなのですが、じわじわと退路を断たれていく感じが非常に恐ろしいです。
読んでいる間、ずーっと心拍数が上がりっぱなしでした。
そしてこの小説が怖い最大のポイントは、「最後まで怖いまま」だということ。
小説でも映画でも、ホラーものは「いろいろ怖いことがありましたけどなんとか助かりました、よかったですね」というふうに終わるのが普通です。
ところが、この小説は違います。最後まで事態が解決しないまま。それがより一層怖さを引き立たせるのです。
ラストの一行の救いのなさといったらもう……。
私は、あまりに怖すぎて読んだあとすぐにこの本をゴミ箱に捨てました。
持っているだけで「やつら」が来るんじゃないかという恐怖に駆られまして……。
3、こんな人におススメ
・怖いのが平気な人
私はホラーが好きな方ですが、それでもかなりでした。ちょっとうなされるレベルかも。
・マンションに住んでいない人
マンションに住んでいる人はやめた方がいいと思います……。
・現実から逃れたい人
怖さと引き換えに、一発で現実を忘れられます。
作者の小池真理子さん、著作多数です。代表作はこれかと。もしよかったらこちらもどうぞ。
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