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【書評】興味をそそられるサイコパスの脳〜『サイコパス』(中野信子)

「サイコパス」といえば、『悪の教典』の主人公、蓮実聖司が真っ先に浮かびます。『悪の教典』は小説も映画も漫画も面白かったです。「俺には感情がないらしいんだ」というセリフは忘れられません。

この本を読んで以来、サイコパスという存在についてずっと気になっていたので、脳科学者・中野信子さんの『サイコパス』を読んでみました。

※書評一覧の目次はこちら

1、内容

「とんでもない犯罪を平然と遂行する」「ウソがバレても、むしろ自分の方が被害者であるかのようにふるまう」などの行動が特徴的なサイコパス。

「異常な人間」としてしか認識されてこなかったサイコパスですが、脳科学の急速な進歩により、彼らの脳は普通の人とは違うことがだんだんわかってきました。

サイコパスを脳科学の視点から分析している、興味深い一冊です。

2、私の感想

この本を読んでびっくりした箇所が3つあります。

びっくりその1、「サイコパスの脳は一般人とは違う。」
もっと人格的な特性があるとか、そういうことかと思っていました。そもそも脳が違うとは。

びっくりその2、「心拍数と反社会性には相関がある。」
心拍数がもともと低く、上がりにくい人の方が、反社会的行動を取りやすいということです。かなりちゃんとしたデータがあるようです。

私もマラソンをやっているせいで安静時心拍数が低いのですが、これいかに……。

びっくりその3、「サイコパスは遺伝的な要因があるかもしれない。」
環境要因によって犯罪者になったとは考えにくい人がたくさんいる、とのこと。つまり、生まれながらにしてサイコパスの脳を持っている人がいるようです。

他にも、「織田信長や毛沢東、スティーブ・ジョブズもサイコパスであったと考えられる」とか、「炎上ブロガーの中にもサイコパスが紛れ込んでいる」とか、「サイコパスは100人に一人の割合でいる」とか、興味深い深い話がたくさんありました。

読んでいて、「これって身の周りにいるあの人のことじゃないか?」と思うようなところがありました。怖いです。

筆者の結論は、「サイコパスの資質を生かし、他人に危害を加えずに働ける場所が必ずあるので、サイコパスとは共存してゆく道を模索するべき」というもの。

サイコパスについてよくわかりました。

3、こんな人にオススメ

・シリアルキラーものが好きな人
『悪の教典』『羊たちの沈黙』などが好きな人は興味深く読めるでしょう。

・自分がサイコパスかもしれないと疑っている人
実は、私も当てはまっているのではないかと思うところがありました……。

・近くにいる人がサイコパスではないかと疑っている人
100人に一人の割合だとすると、結構な確率で近くにいるのかもしれません。

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