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【書評】高度な異星文明が地球をねらう~『三体』(劉慈欣)

地球よりはるかに進歩した異星文明が地球を侵略しようとする、正統派SFの傑作。

『三体』という作品。面白すぎて止められず、大変でした。作者は、中国の劉慈欣(りゅう・じきん)さん。

※書評の目次一覧はこちらです

1、あらすじ・ストーリー

中国人の天体物理学者・葉文潔。彼女は、物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望していました。

失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされます。

そこでは、「地球外知的生命体の探査」という極秘プロジェクトを進めていました。

葉文潔は、ある日偶然にも地球外知的生命体からのメッセージを受信してしまいます。そのメッセージにはこうありました。

「応答してはいけない。もし応答したらあなたたちの惑星は侵略される」

しかし、人類に絶望していた彼女は、迷うことなくある内容のメッセージを送信したのでした。これが地球の運命を決めてしまいます。

……というストーリーです。

2、私の感想

中国発のSFということや、オバマ元大統領やマーク・ザッカーバーグも愛読していることで話題になりましたが、そんなことは関係なく面白いです。

とにかくスケールが大きいです。私は読みながら「作者はどんな想像力をしているんだ!」と驚いてしまいました。

何しろ、ただの武力侵略ではないのです。地球の科学を、物理学的に(量子学的に?)殺しにかかるのです。

こんなことができるのか、という驚きと、作者の知識・教養に脱帽します。

ちゃんと読者が理解できる程度には噛み砕いて説明してくれていて、読んでいて賢くなった気がします。

そして物語終盤の、「三体世界」からの地球人類に対するメッセージが怖い!

同時に、科学を封じられた地球人類がこれからどうやって立ち向かっていくのか、とても楽しみです。まさかこのままでは終わらないはず。

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3、こんな人にオススメ

・SFが好きな人
ヨダレが出ることでしょう。ダラダラです。

・理系の人
物理学やらなんやらの記述がたくさん出てくるので、理系の人はより楽しめるかと思います。もちろん理系が苦手でもちゃんと楽しめます(私のように)。

・宇宙人を信じている人
この「三体世界」の異星人の文明はとても独特です。宇宙人実在論者の人も興味深く読めるのではないでしょうか。

なお、この小説は3部作。

2作目は、異星文明が地球に到着するまでの間、地球人が仕掛ける戦いが描かれるとか。楽しみすぎます。

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