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5月18日 大腸がん入院13日目🏥

入院して約2週間、お腹に刺さっていたチューブがすべて外れたので、やっとシャワーを浴びられることになった。今回はストーマ装具を交換する練習も兼ねているので、看護師さん付き添いのもと、入院着を脱いで浴室へ入る。

浴室には鏡があって、わたしは本当に久しぶりに、自分の体をまじまじと見た。随分と痩せこけていた。あばらは胸の上下に浮き出て、傷だらけのお腹は筋肉を使っていないせいか締まりがないうえに、へその横には金玉のような訳のわからないピンク色した内蔵が飛び出ている。脚の筋肉は、数日でここまで?というほど失われていた。醜かった。裸を見せる相手がいないことに安堵した。こんな体では恋愛どころか、ワンナイトさえできないだろう。わたしに触りたい人なんて誰もいないと思った。

看護師さんの指導のもとで、はくり剤を使ってストーマ装具を外す。わたしは練習のために昨日も交換をしているが、本当は一度付けたら3、4日は付けっぱなしにする場合が多いらしい。装具はストーマを覆うように袋状になっていて、口の部分は特殊なシールでお腹に貼り付けられるようになっている。排泄物は袋に溜まるので、袋の先のキャップを開けて定期的に排出しなければならない。素っ裸のまま上手上手と褒められながら、お腹から装具を引き剥がす。外した装具を捨てるために看護師さんが離れている間に、体と髪もささっと洗った。シャンプーはまったく泡立たなかった。

さて体を拭こうというタイミングで、ストーマが唐突に排便を始めた。腸には筋肉がないため、ストーマ患者は自分の意思で排泄をコントロールすることができない。脚と浴室の床が汚れる。看護師さんが戻ってきて「そのままでいいですよ」と声をかけてくれた。なんだかすべてが馬鹿馬鹿しくなって、なんかすみません〜と笑いながら、濡れた髪に隠れて少し泣いた。


※この記事は、5月18日にインスタグラムに投稿したテキストを、5月31日に加筆修正して投稿したものです

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