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6月17日 はじめての抗がん剤、前夜

いよいよ明日から抗がん剤治療が始まる。

わたしが受ける治療は「CAPOX療法」と呼ばれる化学療法で、初日に点滴、2週間服薬、1週間休薬の3週間が1クールとなっている。再発や転移さえなければ、治療は8クールで終了予定。それから5年以内に再発が見られなければ「寛解」となるが、その可能性は五分五分だ。また、癌に「完治」は存在しない。

点滴直後〜1週間前後の副作用として、ほとんどの人に手足のしびれや痛みが見られるらしい。あとは服薬による副作用として、皮膚の腫れや変色、吐き気、下痢、倦怠感、軽度の脱毛など。これは薬の成分が体に蓄積されるせいか、回を増すごとに症状は重くなるとのこと。

何かしらの副作用が出るのを想定して、この先はもう、予定はほとんど入れていない。今日できることをする。その積み重ねで、これからの168日間をやっていきたいと思う。

なんだかここ最近は、自分の心の動きにすごく目を向けるようになった。今、何をやりたいのか、あるいはやりたくないのか、どうしたら心地よいのか、苦しくはないか(その結果、しょうもないYouTube動画を観ていることも多いけれど)。メンタルの安定だけでいえば、正直、癌がわかる前よりかなりいい。あとは本当に、体がどこまで持ってくれるかにかかっている。わたしがやりたいことなんて、本当に些細なことばかりなのだけれど。

昨日はよく晴れていたので、年の離れた友人を誘って、新宿まで買い物に出かけた。友人はルミネで服を、わたしはAesopでトイレ用のアロマオイルを買った。週末の新宿はカフェなんてどこも空いていなくて、暑い暑いと言いながらスパゲッティの五右衛門に入って、寒い寒いと言いながらたわいもない話をした。友人と別れた後は、伊勢丹の地下2階でボディクリームを見て、無印でエッセンシャルオイルのおやすみブレンドを買い、紀伊國屋書店で立ち読みをし、鉱石標本を眺め、ルミネに戻ってサングラスを買った。ついでに帰り道でコンビニに寄って、たらこバターのパスタを買って、お風呂上がりにチンして食べた。夜はアロマディフューザーにおやすみブレンドを数滴垂らして、ディフューザーのコポコポ鳴る音と高木正勝さんのMarginaliaをBGMに、好きなゲーム作家さんの脱出ゲームアプリで遊んで、うとうとしながらやがて眠りについた。

とてもいい日曜日だった。毎週末ずっとこうやって過ごせたらいいなと心から願う。


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