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「農業」という、人生をかけられる仕事の素晴らしさを知って、農家に転身

株式会社smile farm代表の谷口豪樹さんは埼玉県のご出身で、大学卒業後、ゴルフ用品を販売する会社に就職しました。2013年に転勤で福島県に勤務することになり、川俣町出身の奥様と知り合ったご縁で2018年に川俣で就農。現在は山木屋地区の農園で観葉植物の「アンスリウム」やいちごなどを育てています。

○農業に取り組んだきっかけは?
福島で妻と知り合い、結婚を機に妻の実家で取り組んでいる農業を手伝ったことが、今の仕事のきっかけになりました。妻のお父さんは、福島県の川俣町の山木屋地区で小菊などを育てていました。山木屋地区は福島第一原子力発電所の事故の影響で、2017年3月末まで避難指示が出されていた地域でした。
妻のお父さんは、震災の次の年に避難指示が出ていなかった川俣町の別の場所で新しい土地を借りて農業を再開していました。そのお話を聞いて、農業という仕事に胸を張って取り組んでいる姿がすごいと思いました。同時に、「農業」という、人生をかけられる仕事の素晴らしさを知りました。
それまで農業は未経験でしたが、この出会いと、「復興に携わりたい」という思いが強く、農家に転身することを決意。2018年から川俣町の山木屋地区で花の栽培を始めました。

○農業のやりがいは?
東日本大震災後、川俣町では「アンスリウム」という切り花を栽培する町民を募集していたので、私もその生産者の一人として参加しました。アンスリウムは熱帯が原産の多年草で、色鮮やかな葉(葉の一種)が特徴です。観賞用として楽しまれている花ですが、多くを海外からの輸入に頼っていました。川俣町では、国産のアンスリウムを作り、震災からの復興の花として、ハウス栽培で安定的な供給を進めようとしていました。
今私は1.3万株のアンスリウムを育てています。白や黄色など様々な色があり、約30種類を育てています。花は東京の市場に出荷していて、自分が作った花を全国に販売できることにやりがいを感じています。

○農業で工夫していることは?
私のビニールハウスでは、積極的にデジタル技術を取り入れています。まず、水やりについては、自動化していて、スマートフォンを使って遠隔操作でできるようにしています。ビニールハウスから離れた場所からでも水やりを行うことが可能になります。アンスリウム生産の面積はビニールハウスで1棟600坪あるのですが、この面積の水やりをするとしたら4時間くらいかかります。デジタル技術を活用することで、農作業の時間を短縮し、少ない人数でも栽培が可能となります。

○農業の大変なことは?
アンスリウムは熱帯原産のため寒さに弱く、温度を15度以上に保たないといけません。この温度管理のためには暖房が必要ですが、近年の燃料費の高騰で暖房にかかる費用も増えています。より農業で採算がとれるように挑戦していきたいと考えています。

○今後取り組んでみたいことは?
2022年5月からは「地域おこし協力隊」として、20代前半の方がこのスマイルファームで一緒に農業に関わってくださっています。また、東京の大学生も農業体験に来てくださいます。どんどん地域のことを発信していけば、若い世代も関わってくださるので、私たちが農業を通して山木屋地区に来るきっかけを作っていきたいです。

○川俣町のいいところ・大変なところは?
福島市から車で30分ほど、郡山市にも1時間くらいでいけるので、田舎ではありますがそこまで不便さを感じません。また、川俣シャモや織物、農業などの産業があるので、働く場所があることもよいところだと考えています。また、川俣町役場の方も柔軟に対応してくださるので、そのサポートには助けられています。
逆に大変なところは、なかなか住むところが少ないところかもしれません。

○あなたにとっての川俣町は?
川俣で農業を始めてから4年。ここは、私にとってのふるさとになりました。山木屋地区は原発事故の影響などもあり、2022年現在でも震災前の人口まで戻ってはいません。住んでいる方も高齢の方が多いので、10年後、先を見据えると人口は減っていくと思います。そうなると、ポイントになってくるのは、「交流人口・関係人口」を増やすこと。この大切な場所を守っていくためにも、山木屋地区と関わってくれる町外や県外の方を増やしていきたいと考えています。

○移住を検討されている方に一言
直感や熱い気持ちを大事にしてほしいと思います。「いいな」と思ったらその熱い気持ちを大切に川俣に来ていただくことをおすすめします。
悩んだらまず川俣に来ていただき、短期間でもいいから住んでみてほしいと考えています。今は二地域居住などの選択肢もありますので、まずは二地域居住から始めてみることもいいと思います。


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