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大河「光る君へ」(13)進むべき道

 急に暑くなるやらまた冷えるやらなんやねんな気候、いつのまにか春にはなりましたが。ていうかもう四月ってどういうこと。聞いてないわ。
※「源氏物語を読みたい80代母」のための企画です。最終回までこの形式で続ける所存。思いっきりネタバレ全開なのでご注意くださいまし。
お喋り役の平安女房ズは以下:
右近(右)、侍従(侍)、王命婦(王)、少納言(少)

侍「ねえねえ右近ちゃん!」
右「なあに侍従ちゃん!わかってるわよ言いたいことは。この終わり方何!これであと一週間待てとか人の心ないんか(何回目)」
侍「だよねだよねだよね!!!アタシまたキューン♡ときちゃった……何がって道長くんのあの顔よ……まだまだガッツリ気持ちがアリアリのアリ!四年も経ってるのに!まひろちゃんもね!」
右「ほんっとタイミングが悪いっていうかなんていうかさ、そういう星回りの二人なのかしらね。まひろちゃんの方は、そもそも土御門邸に来る時点で道長くんと顔合わすかも想定はしてたはず。倫子さまからあのお文持ち出されなきゃ、終始よそ行きモードでご挨拶できたと思うわよ、つい本音が顔に出ることなくさ。つか、道長ア!アンタなんなん?!婿入り先に元カノのお文持ち込むとか何考えてんのアホなの?(怒り再燃)」
侍「ま、まあまあ右近ちゃん。それもそうだけど倫子さまヤバない?サラっと文箱の中に隠してあって~とか言ってたけど、いったいどういうシチュエーションで夫の文箱を探るなんてことになるわけ?しかも奥の方にあったわけっしょ?」
少「彰子さまがいたずらして全部引っ張り出したもしくはぶちまけてしまったとかで、あらあら大変~と片づけてる時に偶然発見……でしょうか。小さい子にありがちですわね。彰子さまお可愛らしかったですわ」
右「少納言さんいらっしゃい。今日は遅かったわね」
侍「王命婦さんは?(ハっ)そ、そうか……推しのああいう姿ショックよね(俳優さん名演技!)」
少「いえいえ、王命婦さん本当に所用で欠席みたいですよ。今回の感想預かってます:
『安倍晴明のあの突き放した態度、そこからすべてを察した兼家さまの絶望と慟哭……ああこれよこれ、私の求めていたものは。ヒリつくような権力者の孤独と痛み。死を目前にしても、何とか自らの存在意味、志を誰かに、どこかに刻んでいこうともがく姿は美しいわ……滅びの美ね。家の存続こそがわしの政、人は皆いずれは死に腐れて土にかえる、栄光も誉れも死ぬが家は生き続けるのだ……ってセリフも最高に痺れた。流石は私の推しよ』」
侍「おぉふ……アタシからすれば王命婦さんこそ流石限界オタ……いや何でもない」
右「まあそうは言っても寂しいのは事実よね。次の推しは決まってるのかな。晴明もイイ!って言ってたからその辺かしら。あのうさん臭いオヤジ、なんやかやドラマ終わるまで生き残りそうだし」
少「それを言ったら私の推しは初めから滅びの道一直線ですわ。野心あふれる公任さまが、亡きお父様の勧めとはいえ道兼さまに心寄せていく気持ちもわかります。政の『裏』を受け持っていらっしゃいますから。ただ公任さまは決して深入りはされないでしょうね……間違いなく」
侍「公任くん、F4の中じゃ屈指の腹黒くんだもんねー。屈指のイケメンだけど!」
右「腹黒といえば、陣定での道隆さまの発言も何気にヒドかったわよね。
『地方民の訴えを聞きすぎると調子こくから今回はスルーしよ☆』
 優しい顔でサラっとさ。あの光溢れるファミリー描写にそこはかとなく漂うサイコパスな香り……結局、道隆さまも道兼さまも下々を『虫けら』同然に考えてるのはおんなじなのよね。ただ光属性か闇属性かってだけの違い」
少「道兼さまの闇は……『親の役に立つこと』こそ至上と考えるよう、飴と鞭で巧みにコントロールされて育った結果なんですよね。親のために動く・動かすことこそ『愛情』だと思い込んでいらっしゃる。だから我が子にもああいう言い方しかできない。……お気の毒ですわ。推しがああして闇の道をひた走っておられる以上、私も覚悟を決めております」
侍「平安って平安な時代じゃないのおーーー?毎回毎回波乱万丈すぎるうう泣」
右「と、とりあえず一条帝と定子さまピュアオブピュア♡のカワイイオブカワイイ♡だし、次回は清少納言さんも再登場するみたいだし、来週もお楽しみにー!!」
侍「右近ちゃんムリヤリまとめたー!!!」

 今週も安定の(?)盛りだくさんでしたが、やはりハイライトは兼家(段田安則)の呆けっぷりですかね。衝撃のリアリティでした。顔つきも、立ち居振る舞いも前回とまったく違う。自分はもう死ぬと悟った時(晴明の態度が決定打ですね)からの、道長の脳裏に深々と跡を残しそうなセリフ回しもお見事でした。やはり心の奥底では、道長こそが真の後継者と察しているんでしょうね。兄二人の対比からのこの流れは本当に脚本の妙です。
 一方まひろは子供に文字を教え始めた。民の生活向上にはまず教育から、という定石を素で会得したとはやはり賢い。ここから「より多くの人が読みたくなる」「より多くの知識を得られる」物語を作って広める、というところに繋がっていくんですね。字が読めないがために騙されて子を売られてしまう貧しい母、意味はわからなくとも文字を「女手」と喝破する倫子、まひろが日々経験する様々な出来事が、「書かれたものの力」がいかに強いものであるかを見せつけるわけです。いやーすごいなー本当に。
 さて、今週の癒しポイントといえばやはりロバート実資さんの顔芸ですね。陣定の席で一人反駁した道長に対しての「お?コイツなかなかやるやん」という表情、セリフは「精進、精進」だけで殆どないのに全部伝わるあの感じ、好きです(というか実資登場シーンはすべて癒しオブ癒し)。
 そして忘れちゃいけない、宣孝さんの派手派手御嶽詣みたけもうで。枕草子にも載ってるエピソードですが、映像化はやはりいいですね。このまっ黄っきでクルクル回る宣孝さん、インパクト大でした。 

 実際、後々のお歌やエピソードから鑑みても、大河の宣孝さんはイメージぴったりな気がします。それにしてもここからどうやって
「まひろの婿、俺がなればいいじゃん(名案)」
になるんだろうか。今回、息子(まひろと同年代)にくれてやるのは何かイヤ……という微妙な心持ちになっていたようですがはてさて。楽しみです。
 ところで今回のラストシーン、まさかと思いますが倫子さまが二人の様子を垣間見てたり……しませんよね?倫子さまなら一瞬ですべてを把握しちゃうぞ?いやまさかこんな早い段階で、でも鬼脚本だからありうるかも……いやいやいや……。
<つづく>

「文字として何かを残していくこと」の意味を考えつつ日々書いています。