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大河「光る君へ」(19)放たれた矢

 えー大方の予想通り、やはり先週中の旅行記アップには至りませんでした。すみませんでした。今日は此方を書かなきゃなので、更に後ろにズレこむ模様。まあそのうちきっと絶対(だからいつなんだよ)。
※「源氏物語を読みたい80代母」のための企画です。最終回までこの形式で続ける所存。思いっきりネタバレ全開なのでご注意くださいまし。
お喋り役の平安女房ズは以下:
右近(右)、侍従(侍)、王命婦(王)、少納言(少)

侍「ねえねえ右近ちゃん」
右「なあに侍従ちゃん」
侍「アタシ、なんかピーンときちゃったんだけどー、言っていい?」
右「毎回盛りだくさんが恒例化してるから何のことかわかんないけど、どうぞ?」
侍「じーつーは!清少納言サンと紫式部サンって超ーー仲良かったんじゃなーい?!」
右「えっ(困惑)いやこれドラマだからさ……(完全に影響されてる)二人が顔合わせたとか行き来あったとかっていう記録は何もないのよ?お互い名前も書いたものも知ってはいただろうけどね」
侍「や、それはアタシもわかってんのよ。最初ドラマ内で二人が顔合わせた時はひゃーーありえなーい!でも楽しいからいっか☆くらいだったんだけどー、ああやって映像で交流してる様子を繰り返し見せられてるとさ、アレ?真面目に仲良しだった可能性ない?ていうか少なくとも理解者ではあったんじゃ?阿吽の呼吸できちゃう系?って思えてきちゃって」
王「面白そうな話してるわね」
少「こんにちは、お土産持ってきましたよ。福井のだるまプリン、四つのお味どれでもお好きなのをどうぞ」
侍「キャー!美味しそう!お茶入れてきまっす!」
 侍従、給湯室へ。
右「いつもありがとね二人とも」
王「いえいえ。私も、侍従ちゃんの意見一理あると思う。だって稀代の才女二人よ。性格やキャラはともかくとして、共通の知識がガッツリあるわけで。多分数少ない、話が通じる相手よねお互いに」
少「私、以前から疑問だったんです。紫式部日記での、清少納言さんへの悪口。あまりにも直截すぎて何だか……」
王「キャラに合わない?」
少「そう!そうなんです。源氏物語中でも、あそこまで手放しの物言いはありませんよね……匂わせが基本で常識、みたいな平安時代にあれほどあからさまな書き方で、人の目に触れる記録である『日記』に残した、というのが解せなくて」
侍「おっまたっせー!いっただきまーす!」
 しばしお茶タイム。だるまプリン美味しいです。

少「ところで為時さま、従五位下に昇進されて良かったですね。赤い束帯お似合いでしたわ」
王「夕霧くんの六位スタートを思い出すわね。従兄弟たちは皆五位以上の赤なのに自分は浅葱……で凹むやつ。雲居雁ちゃんの乳母に衣の色で見下されたりも。色で身分が一目瞭然ってシビアだわ」

右「今回まひろちゃん大活躍の巻で、色々メデタイこと続きではあるんだけど、琵琶の弦が切れたのはどういうことなのか……張りつめたものがプチン、と」
王「まさに矢が放たれたものね」
少「あれは取り返しがつきません……」
侍「(動揺)い、いろいろバレるってことかなー?ほら道長くん、帝にまひろちゃんの名前出されてキョドってたし」
王「あれね(笑)私、新婚まもない玉鬘ちゃんが最初で最後の参内した場面思い出した。帝にいたく気に入られたもんだから、髭黒が焦って自分の邸に連れ帰っちゃったやつ」
少「確かに。ドラマの方の帝も、まひろさんが男だったらと仰りつつお気に召した風でしたものね。道長さま複雑なお顔でしたわ」
侍「そしてこまろちゃんを追いかける倫子さま……」
右「つまり道長くんもハゲるってこと?」
侍「ちっがっうううううやーめーてええええ」
王「また来週♡」


 はい、今週も超気になるところで終わっちゃいました。あの内容で一時間足らずなんて短すぎますわホント。
 内裏での、昼日中から寵姫を愛でる帝(婉曲表現)、廊にバラ巻かれる鋲(原作では汚物つまりウ〇〇:自粛)、まんま「桐壺」巻でしたね。ききょうが御簾の内側に向かって聞こえよがしに反論したの面白かったです。
 中宮おつきの女房が友達を連れてきてお話相手に、なんてことが本当にあったかどうかはともかくとして、「新楽府しんがふ」を引き合いに出し高い志を語るまひろと、「皇子生め」しか言わない伊周との対比があまりにも無慈悲で、さすが人の心のないことで定評のある大河だわと思いました(褒め言葉)。伊周も光源氏のモデルと言われる一人であり、眉目秀麗にして教養ある人物のはずなんですが……あの爽やかイケメンがどうしてこうなった(役者さんすごい)。ツッナーにまで馬鹿にされちゃって可哀そうになってきますが、この先もまだまだ「無様」な姿を晒すのよね……世は無常。
 ところで。
 侍従ちゃんの「紫式部と清少納言は実際仲良しだった」説、何の根拠もない仮説ではありますが、ドラマのイメージを借りて少しだけ妄想を語らせてください。
【そう遠くもない未来】
ききょう「まひろさんいらっしゃる?」
まひろ「ききょうさん!大変だったわね……これからどうなさるの?」
き「定子さまがいない此の世に未練はないわ。どこかのお寺に引っ込んで念仏三昧で余生を送るつもり」
ま「……お文送るわ。ききょうさんも下さるでしょ?」
き「前中宮側の私と懇意にしてるとわかったら、貴女スパイかと疑われるわよ。文は最小限、読んだらすぐに焼き捨てて。私もそうするから」
ま「そんな……」
き「そうだわ、貴女宮中で日記を書いてるんでしょう?いつでもいいから、いちど思いっきり私の悪口を書くのよ」
ま「ど、どうしてそんなこと」
き「あの二人はスパイどころか犬猿の仲だったって世間の認識になれば、貴女も私も、ひいては亡き中宮様の名誉も守られるでしょう?」
ま「それは、そうかもしれないけど……泣」
き「よくって?どこからどう読んでも悪口にしか読めない、パーフェクトな悪口雑言に仕立てるの。貴女なら書けるはず。いえ、貴女にしか書けない。最悪の悲劇に打ちのめされながら、中宮定子さまが如何に眩しく輝いていたかを書き綴ったこの私の好敵手ともである貴女なら。そうでしょうまひろさん?」
ま「(号泣しつつ頷く)」
き「よかったわ。これで心置きなく都を捨てられる。貴女の小説、どうにか入手して読み続けますからね?頑張って書き上げて。途中で諦めたら承知しないから!」
ま「ききょうさん……!」

 少しじゃなかったわすみません。あああでもいいなあああこうだったら。才女二人の友情最高すぎかよ。
 この会話はもちろん妄想オブ妄想ですが、あえてあの直球ストレートな悪口を書き残した意味、誰に見せるものだったかを考えると、やはり何らかの意図アリという気がしてならないんですよね。「枕草子」を大褒めに褒めて道長の不興をかったとか?疑われてメンドクセーから褒めた文書は破棄・バリバリに悪口いっときますよこれでご満足?みたいなヒネた心持ちなのか?などなど想像(妄想)の翼は広がるばかり。でも、こうして千年ののちも残るとは思ってなかっただろうなあ確実に。それはそれでツラいことかもしれん。
 というわけでまた来週。ガテン仕事もまだ続く(サロンパスペター)。

<つづく>

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「文字として何かを残していくこと」の意味を考えつつ日々書いています。