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戦後最悪の状況、「露朝同盟」の締結 ―日本には核武装しか選択肢はない!―日本外交政策学会理事長 川上高司

 北朝鮮を訪問したプーチン大統領は金正恩と「露朝同盟」を締結した。日本にとっては戦後最大の危機である。これまで北朝鮮は核武装をなしとげたのみならず、核戦力を充実させアメリカにまで到達するミサイルを持つに至っていた。この段階で北朝鮮の核弾頭の数はストックホルム国際平和研究所によれば50基、1年間で20基増ということである。したがってアメリカやNATOに対する最小限抑止は獲得していた。さらに、これにロシアの拡大抑止を加えることにより完全に核保有国として成立したことになる。
 北朝鮮は核大国のロシアと同盟関係を結んだのである。核兵器のレイヤーになるとロシアはアメリカと同等の核戦力を持つ。そのロシアの後ろ盾をえて北朝鮮は拡大抑止力をもつにいたった。つまり、米国が北朝鮮を核攻撃した場合には、ロシアも参戦しアメリカに対して核による報復攻撃を北朝鮮とともに行う同盟関係が成立したのである。
 この状況下にはいると、スタビリティ・インスタビリティ・パラドックスの状況にはいる。つまり北朝鮮が容易に南進し第二次朝鮮戦争が起こる可能性はきわめて高くなる。そのタイミングは台湾危機と連動していると考えられるので、台湾有事は日本有事であり、朝鮮半島有事でもある。さらに極東ロシア軍がいるわけであるので北海道危機にもなるわけである。
 一方、日本は核兵器をもたない。日本はアメリカの核の傘にはいることを保障する日米同盟があるので日本はアメリカの核による報復攻撃に期待するしかない。しかし、状況は米国の報復が確約されるかどうかわからない「やぶれ傘」である。それを修復するためには、日本の核武装が必要である。日本が核武装をすれば日本がアメリカを核戦争に「巻き込む」確立が高まる。そのやり方にはいくつかある。
核武装には米国から核を貸与してもらう「ニュークリアシェアリング」がいわれるが、それでも日本には核のボタンを押す権利がない、とするならば「イギリス型の核武装」である。これは、米国が核を日本に供与して日米安保の枠組みで核武装をするやり方である。それがかなわぬ場合には「フランス型の核武装」(独自核武装)しかない。日本には独自核武装をする能力は十二分にあり、これを「イスラエル型核武装」という。
露朝同盟が成立したことにより、極東の危機が一段と高まった。それは、岸田政権が崩壊しようとしている真っただ中に行われた。さらに、東京都知事選が始まった直後に行われた。この事実をみただけて、金正恩とプーチンはまさに日本を標的にして行ったとみるべきであろう。

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