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映画『ムード・ホール』から、2本のエピソードを公開するにあたって

COVID-19によって、今は社会、国際情勢、政治、経済、産業、文化・芸術はもとより、労働、教育、ライフスタイルなどあらゆる価値観に変化の兆しが見え始めた、世界規模の社会実験的状況といえます。

2020年2月14日から27日までの間、京都の出町座で『ムード・ホール』が上映されました。カワイオカムラの単独作品が映画館興行として上映されることは初めてで、劇場看板横にバナーが飾られた時は感無量であった一方、初の自主配給は、夜毎届くその日の興行成績に緊張し、一喜一憂し、SNSによる情報発信や関係方々への協力依頼を地道につづける日々で、映画興行入門というべき経験にもなりました。

ロードショーが終わった7週間後、京都に緊急事態宣言が出され、出町座も休業を余儀なくされましたが、さまざまなサービス、企画をクラウドファウンディングと連携させる等、休業中の動きもさすがの逞しさでした。5月22日から営業再開、試行錯誤をつづけられている姿勢に感銘を受けつつ、細やかながら応援しています。

『ムード・ホール』は次の劇場公開の交渉に入りかけていたものの、いくつかの理由から一旦休止することにしました。
大きなスクリーン、画質、音響設備、快適なシート、なにより鑑賞代を支払い〈映画〉を見る気満々の人々が集う劇場で上映できることは、今なお魅力的です。今後の状況も見守りながらチャンスを探っていきます。

『ムード・ホール』をオンライン配信する案は、2019年春の完成直前に配給パートナーのCaRTe bLaNChe(カルトブランシュ)岡本珠希さんと話していました。COVID-19以前の話題として、海外の映画祭も近年状況が変化している中、オンラインでの映像配信が容易になった今、この作品との出会いを(潜在的に)待っている世界中の人々へもっと届けたいと考えるなら、映画祭だけを発表のベースにしていくというのはもはやちょっとちがう。有料配信でどれだけの人に見ていただけるか、利益は出せるかなど、読みきれないことも多いけれど『ムード・ホール』を配信してみましょうと。

こうしたいくつかの背景から、『ムード・ホール』全編ではなく、まずはシングルカット的な感じで、2本のエピソード、『増殖 I』『増殖 II』を期間限定で無料配信してみることにしました。

小さな試みかもしれませんが、社会的実験の一端を担う心積りでもあります。

合わせて、noteで各エピソードの制作メモも公開してみます。各エピソードを愉しんでいただけた方はもちろん、仕組みやつくり方が気になった方には何かしらのヒントになれば嬉しく思います。

これらのメモは制作時の記録をもとにあれこれ思い出しながら書き始めたもので、しばらくの間、追記、編集を続け、更新していく〈公開下書き〉のようなものとご理解ください。

2本の限定配信に合わせ書き始めたものの、限定期間が終わった後にメモを公開しておくかどうかもまだ決めていないというほどに見切り発車です。

2020年6月7日 カワイオカムラ

※『増殖 I』『増殖 II』の期間限定配信は終了しました。(2020/8/10)



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