自分のバイアス、どれくらい知っていますか?(2)
はじめに
ITの発展とともに新しく生まれた「錯覚」を5つのnote記事に分けて紹介します。本記事は2項目です。
第一記事はこちら↓
11. 利用可能性ヒューリスティック (Availability Heuristic)
人間は意思決定を行う際に、思い出しやすいものに引っ張られた非論理的な判断を下してしまうことがあります。
(例)どこのお店に行こうかと考えていたら、直近でみた広告の場所を選んでいた。
ヒューリスティックとは、複雑な問題解決などに対して何らかの意思決定を行うときに、暗黙のうちに用いている簡便な解法や法則のこと。
逆に取れば、他人が意思決定する前に記憶に残りやすいポジティブな記憶を残すことができれば、意思決定を誘導することができる。
12. 防御的帰納(Defensive Attribution)
防御的帰属とは、自分がネガティブな何かの犠牲者や原因になるという信念に関連した心配を避けるために使用される精神的なメカニズム。
これは一般的に、交通事故や攻撃されるなどの不幸な事故を経験した人に遭遇したときに起こります。人は、事件の深刻度や、被害者と観察者がどれだけ似ているかによって、被害者や加害者の責任をより大きくします。
本質的には、同じ悪いことが自分にも起こるのではないかという不安を軽減することができます。
13. ジャストワールドの仮説(Just-World Hypothesis)
ジャストワールドの仮説は、人の行動がその人に道徳的に公正で適切な結果をもたらすように本質的に傾斜しているという認知バイアスのこと。すべての高貴な行動は最終的に報われ、すべての悪の行動は最終的に罰せられるという仮定である。
(例)サリーの財布は盗られた。なぜかというと、彼女はフランシスに意地悪だったので、天罰が下ったのである。
「悪い行いをしたから悪い結果が起こる」というとてもありがちな認知バイアス。日本昔ばなしなど広く根付いた思想であり、もはや避けて通れないバイアス。しかし、実際には悪い行いをした人にもいい報いが来るし、逆も起こりうるという事は忘れてはいけない。
14. ナイーブ・リアリズム(Naive realism)
ナイーブ・リアリズムとは、「自分は」社会世界を客観的な現実として認識しているが、「他人は」非合理的、または偏見を持っているに違いないと考えてしまう人々の傾向のこと。
(例)審査員である父は、娘の美術作品を周囲の予想よりも高く評価した。
自分だけが正しい情報を持っている。他人は偏っている。
そう考えてしまう習性は誰にでもある。しかし、実際にはI am SamでSamが言っていた通り、「ある分野ではあなたの方がより多くの知識を持っているし、ある分野では私の方が知識を持っている」。
「他人は偏見を持っているに違いない」という「偏った見方を自分がしてしまっている」ことを日頃から意識する必要があるかもしれない。
15. ナイーブなシニシズム(Naive cynicism)
ナイーブなシニシズムは、他人の判断には何かしらの動機もしくは根拠があると考える傾向のことである。大抵の場合、自分の利益のためだと偏った見方をします。
(例)この人がこんな良いことをしてくれるのはきっと何か私にして欲しいことがあるに違いない。
個人的にはとても面白かったバイアスの一つです。
「見返りのないプレゼント」が世の中にあるものでしょうか。
きっとない。そう考えてしまう偏見をナイーブなシニシズムと言います。
16. フォア効果/バーナム効果 (Forer Effect/Barnum Effect)
バーナム効果は、性格の記述が実際には誰にでも当てはまる情報で埋め尽くされているという事実にもかかわらず、個人が(他の人よりも)自分に特別に適用されると信じているときに起こる現象のこと。
(例)このホロスコープ、めちゃくちゃ正確だ!
「あなたは、他の人に自分を好きになってもらいたい、褒めてもらいたいという欲求が強いです。」
「あなたは自分自身に批判的になる傾向があります。」
遠目からこの文章を読むと、確かに誰にでも当てはまることだとすぐわかる。しかし、星座や生年月日など自分の情報を入力した結果こういうことが書かれていると、占いは正確だと錯覚してしまうのである。
17. ダニング・クルーガー効果(Dunning-Kruger effect)
ダニング・クルーガー効果とは、自分は実際よりも賢くて能力が高いと思い込んでいる認知バイアスである。本質的に能力の低い人は、自分の無能さを認識するために必要なスキルを持っていません。
(例)文法、論理のテストで最低ランクの得点を取った人は、自分の成績を大幅に過大評価する傾向があった。
ぐうの音も出ません。なんだか今すごく人に謝りたくなってきました。真理を突くというのは時として恐ろしい凶器になりえますね。自分はこの現象を「バスケ未経験者、スラムダンク読んだあとダンクできる説」と名付けました。物事を習いたての頃は、「なんでもできるんじゃないか」と自信過剰になりがちです。
18. アンカリング(Anchoring)
アンカリングは、個人が意思決定の際に最初の情報に過度に依存してしまう認知バイアスのこと。このアンカーの価値が設定されると、将来のすべての交渉、議論、見積もりなどがアンカーに関連して議論される。
(例)50%オフだって?それなら安いに決まっている。
これは恐ろしいバイアスである。悪用すれば詐欺にもなってしまう。
人間は最初に入ってくる情報が良質であれば良質であるほど、そのほかの複雑な情報は思考をスルーしてしまうのである。
19. 自動化バイアス(Automation Bias)
自動化バイアスとは、自動化された意思決定システムからの提案を好む人間の傾向であり、たとえそれが正しいとしても、自動化されていない状態で作られた矛盾した情報を無視することである。
(例)スマホがitsをit'sに変換したのだから、こっちが正しいに決まってる
今後増えていきそうなバイアスの一つ。
単語補正レベルであれば間違っていても意味は通じるが、GPT-3などが発達してきてメールそのものを返信できるようになった時、頻発してきそうなバイアスである。
20. グーグル効果(Google Effect)
Google効果はデジタル健忘症とも呼ばれ、インターネットの検索エンジンを使用することで、オンラインで容易に見つけることができる情報を忘れてしまう傾向があります。
Google先生に聞けばすぐわかる事柄は、調べて「あ〜なるほど」とわかった後すぐに忘れてしまうようです。これは一概に良い悪いとは言えないような気がしています。
広義で捉えれば、インターネットが自分のメモリの代わりになってきているということでしょう。
本当に覚えていたい事柄は、検索するだけじゃなく書き留めたり人に話したり、工夫が必要になったということでしょう。
まとめ
共感できるバイアス、いくつありましたか。
自分が一番心に刺さったのは、ダニング・クルーガー効果です。
苦い薬ですが、そういうものだとわかっていれば気が楽になります。
まだまだ人間の錯覚はあるようですので、随時紹介していきます。
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