面接官として大切にしていること
私が採用面接の面接官を務めるとき、大切にしていることがあります。
それは、『応募者の人生をより良くすることを第一とする』ことです。
私自身、これまでに採用面接を1,500回ほど経験してきましたが、最初からこのように考えていたわけではありません。
今から8年ほど前——SESのエンジニアから急遽社長になった頃の私は、『いかに優秀な人材に自社を選んでもらうか』ばかり考えて採用面接に臨んでいたのです。
優秀な人材に自社を選んでもらうために、会社を良くみせようと求人原稿に記載されている待遇や仕事内容が良く見えるよう工夫したり、面接時に多少話を盛ったりもしていました。
もちろん『良くない』ことだとは思っていましたが、『どの会社もやっていることだし採用で優位性を担保するためには仕方ない』と考えていたのです。
その結果、思惑通りにたくさんのエンジニアを採用することができました。しかし、離職率が高まってしまったのです。
高待遇や魅力的な仕事内容、よい職場の雰囲気などをアピールしたことで、入社前の期待値が高まりすぎてしまい、その分入社後のギャップが大きくなってしまったのだと考えています。
この失敗経験があったからこそ、今では『応募者の人生をより良くすることを第一とする』ようになっていったのです。
面接をしていると、『この応募者が求めているものはエージェントグローにはないな』と感じたり、『エージェントグローより、もっとよい選択肢が存在するな』と感じることがあります。
その応募者にとって、エージェントグローへの入社がベストだと確信できないとき……。
私は、その旨を正直に伝えるようにしています。
これは、決して珍しいことではありません。
先に述べたとおり、私は『応募者の人生をより良くすることを第一とする』ことを大切にしているからです。
正直に伝えたことで、採用基準に達しているエンジニアを逃してしまったこともありました。
もちろん、その方に入社していただけるよう話を進めることもできたことでしょうが、面接で良いことを言って入社いただいたとして、はたして誰が幸せになるのでしょうか。
仮に入社いただけたとしても、入社後に現実とのギャップを目の当たりにすることで会社への不信感が芽生えてしまうことでしょう。
不満をため込み、結果的に退職したりしてしまうかもしれません。
それは、会社にとっても応募者にとっても不幸な未来ではないでしょうか。
会社のありのままを伝え、応募者に納得していただいたうえで入社していただく。これが、長期的にみて応募者と会社双方にとってプラスになると考えています。
私は、そう強く確信しています。
この記事でご紹介したエピソードは、日経ビジネスでも紹介されています。ぜひあわせてご覧ください。