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女性スクラムマスター100人に向けて研修を始めます。

Women in Agile の目標の一つが「女性スクラムマスターを100人作ろう」です。その一歩目としてスクラムマスター研修をやってみようと思います。6月13~15日の3日間で、スクラムの基礎を学んで、スクラムマスターとしての一歩目を踏み出していただきたいと思います。

どうして「女性」「スクラムマスター」「100人」なの?

日本では、女性のキャリア問題が大きく話し合われることがほとんどない、と感じます。少なくとも、私たちが働いている多くの会社で、女性だから昇進できないとか、女性だからキャリアの選択肢が少ない、ということは名目上、存在しません。男女雇用機会均等法もありますし、多くの公教育に差別はないですし、普段暮らしていても、女性差別というのは、存在しないし、起こさないようにしている方がほとんどではないかと思います。

日本には女性差別は存在しないし、女性は十分な機会を得ているはずだ

多くの方がそのように考えているのではないでしょうか。

でも、なぜか企業のマネジメントに女性は少ない

差別がないにもかかわらず、昇進の機会も区別されてないにもかかわらず、多くの日本企業のマネジメント層には、驚くほど女性の名前がありません。もちろんゼロではなく、確実にいらっしゃいます。でも、普通か?と言われれば、たぶん、普通に存在しているとは言い難い状況なのではないかと思います。なぜでしょうか?少なくとも、公教育の問題ではないし、社内制度の問題ではない。もしかすると「女性には、マネジメントになることを嫌がる人が多い」ということなのかもしれません。だって少数派なのに、わざわざなろうとするの、怖いですよね。
実は、女性のコミュニティで話をすると驚くべきことを耳にします。痴漢は普通にあるし、SNSではおかしなメッセージは届く。実は女性として暮らすことは、男性として暮らすより、大変な面があるのです。決してマタニティリーブがある、というだけのことではないのです。

アジャイルコミュニティには女性差別も区別もない

以前、Women in Agile のメンバーで話をしたとき、アジャイルのコミュニティにいると、そもそも女性であることを意識することがほとんどない、という話になりました。その理由ははっきりとはわからないのですが、アジャイルというのは、相手の属性ではなく、相手を人間としてみて、一人一人を観察する、という文化があるのを感じます。海外のアジャイルコミュニティでも、女性の発表はとても多く、男女の差を意識することがほとんどありません。リンダ・ライジング、マリリン・マンズ、メアリー・ポッペンディーク、ガブリエル・ベネフィールド、ジャネット・グレゴリー、ズージー・ショコバ…、わたしに多くの実践知を授けてくれたトレーナーの半分は女性です。私たちにとっては当たり前のことが、世の中にとってはまだまだ当たり前ではない、ということに、もう10年以上コミュニティにいて、気が付きました。

こっちを「ふつう」にするのだ

私はアジャイルやスクラムの普及活動に長年携わってきました。仕事としてもアジャイルコーチというタイトルで仕事をしていますし、質の高い認定スクラム研修を日本で実現すべく、多くの努力を傾けてきました。スクラムギャザリング東京というカンファレンスも10年以上続けてきて、徐々に日本中の実践者が集まる、ギャザリング(集会、集まり)になってきました。いまでは、スクラムもアジャイルも「一部のファンがやっていること」ではなく、知られていて当たり前、という雰囲気になってきたかなと思います。少なくともアジャイルやスクラムを学ぶことは、多くの企業にとってポジティブにとらえられていると思います。
同じことを、女性問題にも適用できないでしょうか?そのためには、なにか着実な活動を10年くらい続けてみるしかないんじゃないか、という仮説を持っています。

私たちはスクラムなら教えられる

そこで私たちが掲げたのが、「女性スクラムマスターを100人作ろう」です。これは単純に私たちがスクラムのトレーニングに関わってきたから、という発想からですが、思いついてみると、この考えは非常に私たちにとって都合がよい、ということに気づきました。ざっと考えると、以下のような要素が思いつきます。最初から思いついたわけではないのですが、数多くのやるべき理由がみつかってきました。

  1. 認定研修をすることができる(かもしれない)ので、努力を続けるための原資を得ながら進めることができる

  2. スクラムマスターは社内の公式の役職ではないので、昇進しなくてもなれる

  3. スクラムマスターの教育を受ければ、キャリアチェンジの際にも有利に働く可能性が高い

  4. 女性がごく少数のコミュニティから出発して逆転を狙う必要がない

始められなければ、なにも始まらない

意見としては、女性コミュニティ向けに無料でやる、という案もあったのですが、その道は進まないことにしました。次回以降に継続して続けるためには、最初のハードルを下げることは、有効とは限りません。認定がない分の値下げはするものの、手抜きや自重は一切せず、ちゃんとみなさんに信頼していただけるのか、問うことにしました。ご受講のみなさまにはご負担をおかけして大変恐縮ですが、ぜひとも、ご協力をお願いいたします。ぜひとも、一緒によりよい未来を作っていければと思います。

https://www.jp.agilergo.com/online-sm4w-chibana-202205

企業のみなさま、ぜひ予算獲得を!

女性向け、ということでむしろ社内で告知しにくい、という担当者様も多くいらっしゃるかと感じますが、以上の趣旨ですので、ぜひご理解をいただきまして、一人からでも、女性スクラムマスターやスクラムマスターになりたい女性の発掘と、ご支援をいただければ幸いです。女性向けのカリキュラムというのはございません。普通にスクラムマスター研修です。

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