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夕方、草原


毎日、世界の少しを切り取って生きている

世界は瞬間の連続だった。
初め鮮やかに、そして徐々に色彩を失っていった。
世界は平べったく、平坦に、平凡になった。


切り取った場面

午後5時、鐘が鳴り響く
草原で、人々が等間隔に立っている
みんなうなだれている

本 は意識と認識の世界
実世界の記憶で情報を補完しながら
文字が躍る

文字は疾走する
先を急ぐ
早くしないと消えてしまう

忘れてしまう

夢の記憶
起きた瞬間だけわずかに残る記憶とイメージ
すぐに消える
1分で消える


午後5時01分、草原
みんなが顔を上げる
一人、二人と、来た道を戻り歩いていく


午後5時05分
誰もいない草原
草が風に揺れている


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