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読書記録「セーヌ川の書店主」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、ニーナ・ゲオルゲさんの「セーヌ川の書店主」集英社 (2018)です!

ニーナ・ゲオルゲ「セーヌ川の書店主」集英社

・あらすじ
ジャン・ペルデュはパリのセーヌ川にて本屋船を営む初老の男。青年の頃より読書が好きなペルデュは、話を聞いただけで、その人が求めている本を勧めることはできる。

船の名前は”文学処方船”。8千冊の品揃えと、観光客用のギフトカード、そして血栓予防ストッキングを販売している。そしてカフカとリンドグレーンという名の猫が2匹。

ペルデュはまもなく50歳になるが、20年前に突然自分の前から姿を消した恋人 マノンへの傷心は癒えていなかった。

ある日、ペルデュは同じアパートメントのカトリーヌという女性と共に食事をする。聞けば夫が浮気して、家には家具一つ残っていないと。

"閉ざされた部屋"から机を持って行ったところ、引き出しの中にマノンの筆跡の封筒が見つかる。20年間、読まずにいた手紙であった。

最初こそ拒絶するペルデュであったが、ようやく決心がつき手紙を読む。なんとマノンの命はもう僅かであったと。

過去への決別のため、愛した者への別れを告げるため、文学処方船は彼女の故郷プロヴァンスを目指して旅をする。

心情の描写が素敵で、時にユーモアもある。本好きなら一度は行ってみたい本の船の旅。都会の喧騒から離れるような、ほっとする作品でした。

ストーリーも良いが、この本には読書が好きな人なら思わず共感してしまう言葉が沢山ある。先日書いた「本に味があるならば」にもあったように、考えさせられる言葉がある。

中でも私はこの言葉が好きだ。

読書、それは終わりのない旅だといえる。長い、まさに永遠の旅で、その途上、人はだんだん穏やかになり、愛情深くなり、他人にやさしくなっていく。

同著 149頁より抜粋

読書に終わりはない。同じ本を読み返したとしても、異なる感想や感情が湧いてくるように、決して終わりのない旅である。

でも旅をするのは面白い。新しいものに触れ、今までと違う世界を見て、そしてその旅を懐かしむ。旅は思い出すだけでも幸せを感じる。

読書は、現在だけでなく、未来にも、過去にも行ける。それに、他の人生を味わうこともできる。

その旅を通じて、人は穏やかになり、優しくなる。

だからこそ文学を読むべきなのだと私は思う。

それでは、良き船旅を!

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