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読書記録「月曜日の抹茶カフェ」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、青山美智子さんの「月曜日の抹茶カフェ」宝島社 (2023) です!

青山美智子「月曜日の抹茶カフェ」宝島社

・あらすじ
携帯ショップで働く私は、年始早々ツイてない。川沿いの桜並木がとぎれたところにある喫茶店「マーブル・カフェ」に到着して早々に思い出す、月曜日は定休日だと。

でも何やら店内に人のいる気配がするし、看板には「マッチャーブル・カフェ」。どうやら1日限定で抹茶カフェイベントを開催しているそうだ。

若旦那のような店員はどこか無愛想。抹茶ラテや抹茶プリンなんかを期待したのだが、メニューは薄茶か濃茶しかない。値段の高い濃茶を頼んだら、飲みきれるか分からないほど渋い。やっぱり私はツイてない。

その時若旦那のスマホが鳴る。使い慣れてないそうで、電話に出るのも一苦労。使いづらいと不満を述べる若旦那に対して、つい言ってしまう。

「スマホって、そもそも最初から最後まで未完成なんです」

同著 20頁より抜粋

東京と京都を舞台に、春夏秋冬をめぐりながらご縁がつながっていく11人と1匹の物語。

先日読み終えた「木曜日にはココアを」の続編。同じタイミングで購入したため、その流れのまま読み耽った。時折出てくる前作の登場人物に、おもわずニヤリとしてしまう。

その上舞台が京都とあって、下鴨神社の納涼古本祭りや鴨川デルタでの会話に、また京都に行きたくなる次第。

前作を通じて一貫しているのは、登場人物全員が何かしらの人とのご縁を通じて前に進もうと、自分自身を見つめ直そうと決心することである。

そのご縁は、古くからの友人であったり、古本祭りでたまたま出会った店主だったり、その人との関係性もタイミングも様々である。

そもそも、今日出会った人も、様々な人とのご縁によってつながっている。目には見えない、ここにいない人々のつながりによって、こうしてあなたと出会ったのだ。

どんな出会いも、顔のわからない人たちが脈々と繋いできた手と手の先なんだよ

同著 182頁より抜粋

ご縁というものは細い糸のようなもので、どちらか一方が手繰り寄せない限り、簡単にぷつりと切れてしまう。それに、今の御時世ブロック機能で手放すのも簡単である。

もちろん、全ての人とご縁を結ぶ必要はないだろうし、そもそも全員が善意を持って接してくれるとも限らない。それに傷つくことも、時にはある。

それでも、ご縁というものはやはり人が持ってくるものだと思う。

自分が知らない世界を知るのも、自分が新たな一歩を踏み出すのも、人なんだと思う。AIやアルゴリズムといったものではなく、人が運んでくると信じたい。

だって私が読書会を主催しているのも、やはり何かしらのご縁があってのことだし、一人で本を読んでいるだけだったら、きっとこの場はなかったかもしれない。

そして、私の読書会からもご縁がつながることもある。私はただ場を提供しただけだが、それによって何かしら紡いだご縁もあるかもしれない。

そう思うと、意図せずともご縁というものは自然と繋がっていくものなんだな。ただ自分から何かしら働きかけることは、やっぱり大切だけどもね。それではまた次回!

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