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読書記録「この世界の片隅に」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、こうの史代さんの「この世界の片隅に」双葉社 (2009)です!

こうの史代「この世界の片隅に」双葉社

・あらすじ
昭和16年12月から始まった「大東亜戦争」。浦野すみは縁談で広島は呉へ嫁ぐ。徐々に被害が増していく戦争、突如としてやってくる空襲、生と死の狭間にありながらも、それでも生活は続いていく…。優しいタッチで戦争の厳しさを、戦時下の"普通"の生活を描く。

夏になると、どうして戦争ものの作品に触れたくなるのだろうか。かつての英雄達が、夏の光となって、忘れてはならない何かを伝えに来るのだろうか。それか、小学生の夏休みに観た「火垂るの墓」の影響だろうか。

私が大学生の時だったか、一度家族で広島に行ったことがある。初めて原爆ドームを見に行った。今まで教科書でしか見たことがなかったのだ。

旅行当時の写真

ツアーのため時間は限られている中、広島平和記念資料館を訪れた。その中で展示されていた三輪車を今でも覚えている。8月6日の、その瞬間を思うと、何故だか涙が込み上げてしまった…。

さて、こうの史代さんの本の話に戻す。映画化されているためご覧になった方も多いかもしれません(私はあの映画で作中3回ほど泣きました)。

決して戦争を美化することなく、徐々に蔓延る戦争という「生」と「死」の狭間で強く生きること、一方で、生き残ることの、生きていくことのなんたるかに思い馳せる作品でした。

生きとろうが死んどろうが
もう会えん人が居ってものがあって
うちしか持っとらんそれの記憶がある
うちはその記憶の器として
この世界に在り続けるしかないんですよね

「この世界の片隅に (下)」より抜粋

勿論、これを読んだだけで戦争の厳しさを、悲惨さを、苦しみを理解することは出来ません。ただ、その記憶を引き継ぎ、同じ過ちを犯さぬよう生きたいと願うのは、甘い考えなのでしょうか。だとしたら、何のために記憶を残そうと書籍に、映像に、現物を残そうとするのだろうか。

かつての記憶を引き継ぐために、私はもっと本を読み、そして大いに語りたいと思う。それではまた次回。

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