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鉄道車両と木造建築の意外な共通点

こんにちは。交通技術ライターの川辺謙一です。
今回は「鉄道車両と木造建築の意外な共通点」について書きます。両者は直接関係がないように見えますが、じつは名前が同じ部品が使われているという共通点があるのです。

■「妻」と「側」

わたしたちが日々利用している電車。そこに使われている部品には、ちょっと変わった名前のものがあります。

たとえば車体の壁。向きによって名前がついているのをご存知でしょうか。車体の側面は「側(がわ)」、連結部分にある面は「妻(つま)」と言います。多くの方にとっては聞き慣れない言葉だと思います。

電車をふくむ鉄道車両の車体の基礎部分(構体:こうたい)は、「妻」「側」「屋根(やね)」「台枠(だいわく)」と呼ばれる6つの面を組み合わせて造られています。「屋根」は構体の上面、「台枠」は構体の下にある基礎を指します。

■木造建築との共通点

構体を構成する部品の名前のうち、「台枠」を除く「妻」「側」「屋根」は、木造建築でも使われています。下図のように、鉄道車両の構体では「垂木(たるき)」「幕板(まくいた)」「軒桁(のきげた)」「腰板(こしいた)」「鴨居(かもい)」「柱(はしら)」「梁(はり)」と呼ばれる部品がありますが、木造建築にも同じ名前の部品が存在するのです。

木造建築と構体

なぜ鉄道車両の構体と木造建築では、共通する部品の名前が存在するのでしょうか? 残念ながら、その理由を明確に記した資料はないようです。

ただ、日本ではかつて構体が現在のような金属製ではなく、木製だった時代が存在します(当時は台枠のみ金属製)。このため、鉄道車両を製造するときに、木造建築で長らく使われた名前が、そのまま構体の部品にも使われたと考えられます。

※図は拙著『「超」図解講義 鉄道のひみつ』(学研新書2010年)より引用しました。

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