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雨の下ノ廊下を歩く(2日目)

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5:20 出発

昨夜からまた雨が降り出してきた。
強い雨ではないがトタン屋根で雨音が室内に響く。出発前に外で雨量を確認。想定していたより強い雨だった。
今日通過するポイントのひとつに「黒部別山谷」がある。ここは川を越える必要があるのだが降水量が増えると通過が困難になり、過去に何人もこの黒部別山谷で引き返している。

黒部別山谷までは4時間はかかり、もし通過できない場合はまた4時間かけて引き返さないといけない上、行動食も消費することになる。予備の行動食は用意しているがそこまで多くない。

小屋のオーナーとも相談。予報では雨はこの後一旦止み、正午あたりから再度降り出すとなっていた。迷ったがオーナーも今の雨量なら問題無いとのことだったので出発することにした。

関西電力人見平宿舎用トンネル
中は高湿度でレンズが曇りっぱなし
仙人谷ダム

6:40 東谷吊橋

しっかりした吊り橋ですが、雨で足元が滑って恐怖でした
下ノ廊下は関西電力が管理しているので、送電線がそこら中に張り巡らされています。写真を撮っていて「ここに電線が無ければな〜」と思うことが何度もありました。まぁ、でも仕方がないですね。その管理があってこの道も安全に通ることが出来るわけですし。
足を滑らせたら一巻の終わり・・
雨は出発した時は強かったが、その後は小雨となったり止んだりを繰り返していました
S字峡
橋はほとんど木と針金で作られています

崩れたり道が繋がっていないところでは木と針金で作られた橋がかけられています。多くが綺麗な状態でしっかりと固定されています。この橋を架けるのもかなり危険そうですが、驚いたのがこれらの橋はほぼ毎年新しく架けられたものだそうです。理由はやはり雪。雪は想像以上に重く、ちょっとした橋では翌年まで保ちません。しっかりと基礎を作れば耐えられるかもしれませんが、ここまで資材を運ぶことも難しい。そのため逆に壊れることを前提に最低限の資材で橋を作っているそうです。それでもここまで資材を担いでくるのは相当大変だろうと思いながら橋を渡っていました。

8:00 十字峡

十字峡は剱沢と棒小屋沢の流れが黒部川と合流する地点。吊橋は雨で滑りやすい上に揺れる。さらに滝の爆音が恐怖を煽ってくる。下ノ廊下で一番恐怖を感じたのはこの橋の上でした。

吊橋を過ぎたところが広場になっていて、そこから本流側へ踏跡を辿ると、十字峡を一望できる岩盤がある。この岩盤も滑りやすく、足もとも不安定なので注意が必要です。


9:20 白竜峡

深く青い瀞と白く泡立つ激流が美しい白竜峡。このあたりから阿曾原温泉小屋へと向かう登山者が現れました。道が狭いのでどこでもすれ違うことが出来ません。道幅に余裕があるところで譲り合ってお互い先を目指します。


この頃に今回の旅で初めて青空が!

10:00 黒部別山谷

出発して4時間40分。危惧していた別山谷に到着です。ここを通過出来なければ引き返すことになります。
ただここに来る前に白竜峡で登山者とすれ違っています。ということは黒部ダムを出発した人は別山谷を通過できていることになります。すでに白竜峡でそれに気づいていたので、ここは何事もなく通過できました。

別山谷を通過してしばらくするとまた雨が降り出してきました。正午あたりから降り出すと出発前に聞いていたので予報通りです。

僕はこのあたりでかなり体力を消耗していました。滑らないように常に足元に注意しながら歩くのは神経をすり減らすと同時、普段以上に足に力が入っていたようです。怪我、転倒だけは避けたいので休憩回数を増やして体力を温存しながら進みます。

この写真は黒部別山谷ではありません(笑)
内蔵助谷出合
ゴールの黒部ダムが見えてきました。
下から眺めるととてつもなく大きいダムです。

13:00 黒部ダム駅

阿曾原温泉小屋を出発してから7時間40分。無事に黒部ダム駅に到着です。総距離は約26km(友達の計測では28kmでした)
めちゃくちゃお腹が減ったので黒部ダムレストハウスで名物の黒部ダムカレーを食べました。

黒部ダムカレー
最後に展望台から黒部ダムの放水を見ました

この後は、関電トンネル電気バスで扇沢まで行き、

大町の「薬師の湯」

信濃大町駅

松本駅

夜行バスで大阪へ帰阪しました。

全体を通して見ると2日目の阿曽原温泉小屋から黒部ダムにかけての方が見応えのある景色が多かったように思います。体力的には黒部ダムスタートの方がずっと下りなので体力消費も少ないです。欅平スタートの場合、2日目は15km以上の上りで、雨の中で山行もあって疲労も大きく、谷沿いの蜿蜒屈曲した道は数字以上に長く感じました。

紅葉もしておらず天候も雨でしたが、逆にネットであまり出回っていない下ノ廊下の景色を堪能することができました。でもやっぱり紅葉の谷も見たいので、次回は紅葉のタイミングを見計らって挑戦したいと思いました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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