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超人スポーツのすすめ

《本稿は休刊となったロボコンマガジン7月号(2019年6月14日発売)に寄稿した『超人スポーツのすすめ 第12回 eコンバット交陣』をあらたに書き起こしたものです 》

〜日本型IR構想+武道インバウンド 大阪関西万博にむけて〜

 2019年4月26日から28日にかけて大阪万博記念公園EXPO’70パビリオンにおいて超人スポーツEXPO「人と人とのバリアを超えろ!」の第一回が開催された。協会認定競技22種の中から全12種競技が体験・展示され、10連休初日から多くの来場者でにぎわった。
 主催のよしもとクリエイティブ・エージェンシー(現吉本興業)所属タレントと超人スポーツ協会共同代表の中村伊知哉教授(現iU学長・当時慶応義塾大学)、稲見昌彦教授(東京大学)、協会事務局長の南澤孝太教授(慶応義塾大学)が並ぶ賑やかな開会式の後、三日間にわたっての体験会は多くのメディアで報じられた。

図1超人スポーツEXPO開会式

 この第一回EXPOは2025年に開催が決定された大阪万博に向けての初の取組となるもので、万博テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。人工知能(AI)や仮想現実(VR)などの「最先端技術の実験場」にするコンセプトを掲げる。
 超人スポーツは老若男女、体力・体格の優劣や障害の有無を克服して、身体差により生じる人と人のバリアを超え、人と機械が一体になる「人機一体」の新たなスポーツの再開発であり、今回は日本技術立国の指向性を先取りした万博プレイベントとして成功した。大阪万博の協会行事が初参加となるeコンバット交陣は、第14番目の超人スポーツ公認競技である。

図3安全に剣術を学ぶ

 eコンバット交陣は安全面を追求した新しい武術競技の開発を手段とし、自社製品を用いての武道家、格闘家のセカンドキャリア創出を最大最終目標と位置づけている。武士道の精神性を芸術として表現して世界に発信することにより、主にインバウンド事業(VoyaginにてKOZINクラス認証、古流剣術の宮本武蔵継承二天一流はAirbnb認証取得)に特化した開発と運用を行っている。事業の特色は、開発する競技を広める過程で指導研究員を養成するとともに体験者の満足度を上げ、周辺地域の経済活性化へ貢献する点だ。

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 eコンバット交陣の構成はPCとモニター(スクリーン)に連動させた無線通信機器付き具足(プロテクター)と、竹刀を現代の技術でより安全に進化させた交陣刀(意匠登録済)で、具足やアプリは開発中のものである。他の電子判定競技と違い急所の概念があり、今まで再現が難しかった古流剣術の斬撃がシミュレート可能となった。
 体験者はまず交陣刀の扱いから習う。端的にいうと武道とは、単なる殺しの技術であったものに、倫理観をしっかりと植え付ける武士道をセットにしたもののことで、この武士道の習得には本来太刀を用いた修練は欠かせないものだった。武士道精神を困難なく身につけるために我々は今一度木刀まで遡って見直し、本来の刀の形状により近く重さは竹刀より重く、プロテクターなしでも安全に修行が出来る交陣刀を開発、さらに交陣専用プロテクターにIT技術を導入・視える化し『やられた感。やった感』を伝えることに成功したものが本競技で用いる武道具である。

図4江戸時代からの進化

 また、パソコンと連動させているため、プログラム次第でいくらでも視覚的聴覚的に訴えることができ、これは同時に観衆を楽しませることにも一役買うことができる。斬撃判定の位置を例えば流派の型に応じて区別させることにより多様な仕合プログラム設定が可能だ。

 従来武道の稽古において、指導者や上位者の価値観や感情でしばしば指導目的が歪められることへの反発心や認知能力不足により、「倒されたことが受け入れ難いこと」が問題となっていた。eコンバット交陣とは臨死擬似経験を繰り返して人の精神がどのように成長して行くかをシミュレートする競技であり、武道に近い精神拡張の効用を目的としている。スポーツ・武道・娯楽の垣根はどこにあり、どのようなバランスで融合させればより心地いいか。観客と競技者が一体になって競技を楽しむにはどの様な電子的工夫が必要かを、開発チームの格闘家・武術家と共に稽古や指導をとおして日夜研究開発している。イベントでは、開発者から習い、実験研究する役だった武術家が教える側に回る貴重な場となる。これまでニコニコ闘会議2019、鹿児島アリーナ格闘道イベント「敬天愛人」の他、公開演習会5回、公式トーナメント2回を開催、東京都主催の東京eスポーツフェスタへも出展してきた。試合は5分1本勝負で男女混合制を導入している。

図8第一回e-コンバット交陣トーナメント

超人スポーツNEXT
 演武・試合鑑賞・体験等地域交流を目的とするサムライ・ディストリクトの創設がeコンバット交陣の次のテーマである。国際的には日本発の近未来アート(サイバネティック・アーツ)として認知され、指導員の雇用とインバウンド観光拠点を創設することが一点だ。

図9インバウンドに向けた第二回トーナメント

 また新武術大会に於ける新しいエコシステム「石高支援システム」の機構を作り、日本型IRの中核を担うべく協業模索や陳情も開始した。大阪府・市においては万博に合わせ、会場となる大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)でカジノを含む統合型リゾート(IR)の開業も目指しており、公共事業として相応しい官民の座組を構想中とのことである。
 武道インバウンドによる新経済圏を中心思想に据え、世界数億人といわれる武道・武術修行者のモデル地区を、超人スポーツや関東にも創設されていくIR、今後公募が始まる東京五輪レガシーパークへも挑戦しながら武道ポータルを創設していきたい。
 超人スポーツ協会としては今回の第一回超人スポーツEXPOにおいて「超スポグランドチャレンジ」が発表された。2020東京五輪に向け、スプリント(陸上レース)、フィジカル(パワーと器用さの両立)、センス(新たな感覚を用いた競技)の3つの超人チャレンジを募集するとのことで、さらなる超人スポーツの発展に向け多くの開発者・学生さんのチャレンジが待たれる。
 2020年のオリパラ(延期となった2021年は10月10,11日デジタルの日)に合わせ、超スポ世界大会を開くことを契機に競技数を増やし、また各競技はブラッシュアップしていき、2025年の大阪万博で開花することが目標とのことだ。

(文:勝田晴美 株式会社響尤CEO/宮本武蔵継承二天一流東京事務局長)

超人スポーツ協会 https://superhuman-sports.org/

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