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結果とプロセス、どっちが大事?

答えだけ書いてある算数のノート。

大学生の頃、学習塾でアルバイトをしてました。
算数を教えていたとき、生徒の子のノートを見せてもらったら、問題を解く過程が書かれていませんでした。速度と距離の文章題で書いてあるのは「500m」だけ。

算数のノートは、後から見たときに「どう考えて、この500mという答えが出たのか」という思考の道筋を振り返ることができるツールです。
そういう意味では、解答だけ書いてあるノートでは、自分がどう考えて解いたかわからないから、後で困っちゃうよね、という話をしたことがあります。

仕事では「結果」と「プロセス」どっちが大事?

仕事において、結果とプロセスのどちらが大切か?という議論がよくあります。

・結果は目標に達していないけど、それまでの頑張ったプロセスを評価して欲しい
・結果は目標以上に達成したけど、運良くクリアできたプロセスが多く、評価できない

様々なケースがあり、個々の事情に対する解釈は人それぞれなので、なかなか結論が出ない議論だと思います。

私は、仕事の評価において結果とプロセスをどう扱うか?という議論については「結果とプロセスは一体で、分けて評価できない」という立場です。
業務には継続性が必要なため、結果とプロセスをひっくるめて振り返り、改善することが次につながると考えています。

とはいえ、SNSでこの議論を目にすると、いつもモヤモヤして、なかなか言語化できていませんでした。

そこで今回はプロセスの代表ともいえる、業務マニュアルを題材に、自分の考えを言葉にして、可視化してみたいと思います。

結果とプロセスを「業務マニュアル」から考える

業務マニュアルは、プロセスを正確に記載して、担当者が変わっても業務が円滑に進むように作られた文書。まさに、正しいプロセスが正しい結果を導くことを目的としたツールです。

私が、業務マニュアルを作る前に読み返す本があります。石黒由紀さんの「ドキュメントハックスー書かない技術」という本です。

この本は、マニュアルなどのドキュメント作成の本質が分かりやすく解説されている良書ですが、マニュアル作成の投資対効果について次のように書かれています。

ドキュメント作成における投資対効果を考えるのは、「そのドキュメントが、あなたの代わりに、どれだけ働いてくれるか」を考えることです。働かないドキュメントは、場所を取り、メンテナンスばかりに手間がかかる、役に立たない設備と同じです。

情報システムを例に考えると、マニュアルとは、「パソコン用のソフトウェアが正常に動作する」といったゴールに向けて、正しい設定手順のプロセスを記載しているドキュメントということになります。

例えば、従業員100人の会社で、パソコン上で動作する業務システムが導入された場合を考えてみます。

情報システム部門の人が3人いたとしても、ソフトウェアを1台1台設定して回るのは、膨大な時間と手間がかかります。拠点が複数に分かれていたりすると、なおさら期間と人手を要することになります。

そんな時、従業員が自分で設定できるマニュアルを配付すれば、あたかも情報システム部門のメンバーとして働いてくれるのと同じ成果を上げてくれます。

ただし、このマニュアルには「きちんと動作する」という結果が伴う正しい設定手順(プロセス)が書かれているという品質の高いものであることが前提となります。

従業員全員が業務システムを使えるようになるというミッションにおいて、たった1冊のマニュアル作成というプロセスは、投資対効果がとても高いという評価になります。
そして、円滑なシステム導入という「結果」の評価を受けます。

では、このマニュアルが無かったらどうなるでしょうか。
情報システム部門総出で人海戦術で設定して、必死に努力を続けても、導入に時間がかかってしまい、地方拠点から本社にクレームが入るなどのトラブルが発生するかもしれません。必死に取り組んだというプロセスが行われた事実はありますが、残念なことにそのプロセスへの努力は報われることなく、導入失敗という結果の評価を受けます。

円滑な業務システム導入という結果を導くために、様々なプロセスを比較検討し、最も効果的なプロセスを選択して実行するのが、プロジェクト一連の流れになります。つまり、プロセスと結果は切り離せません。つまり、良いプロセスは良い結果を導き、悪いプロセスは悪い結果を招きます。

時に、プロセスにマズい部分があったものの、たまたま良い結果になって良かったね、というプロジェクトがあります。私自身も薄氷を踏む思いをした仕事も少なくありませんし、良い結果になったこと自体を否定するものではありません。

しかし、会社は今後も続きます。業務の継続性から考えると、しっかりとプロセスの不備を振り返り、結果と合わせてトータルで評価する必要があると考えています。

まとめ

野球では、ベンチから出たサインと違うプレーをして、仮に決勝点のホームランを打っても叱られることがあるそうです。

最高の結果を出しても、プロセスがまずいと次の試合のプレーに、ベンチと選手の信頼関係が損なわれてしまうため、ケジメをつけるのだろうと思います。

野球も仕事もチームプレーです。業務マニュアルと同様に、ベンチのサインを守ってプレーするという、結果とプロセスはトータルで評価するのが、会社やチームの継続的な発展につながっていくのではないでしょうか。

以上から、結果よりプロセスが大切、という議論における私の結論は、「プロセスを含めた結果は一体」であり、どちらか一方を取り上げて、個別に評価するものではないと考えています。

様々な意見がある議論だということは大前提として、自分のスタンスを明確にしておくことで、迷ったときの自分の判断基準を確立することにちょったつながるのではないかと思います。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

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