見出し画像

#日本酒の新サービスブランドを発表するまで - 越境EC決済価格は日本円で統一

世界市場を見据え、世界一律の商品価格(販売価格ではない)をすると決めたとき、次に考えるべきは「表示価格」「販売価格」「決済レート」といった決済に関わる決めごとでした。

決済レートは変動する

現在、1ドル130円を超え20年ぶりの円安水準を更新しています。輸入品だと1ドル100円のとき10万円で購入できたものが、今は13万円もかかってしまいます。輸入品を購入する日本側は大変な状況ですが、日本のものを購入する海外側にとってはとても買いやすくなっています。10万円していたものは、7-8万円程度で購入できてしまうからです。

決済レートは人によって違う

ニュースでは「1ドル=◯◯円」と発表されますが、決済する現場では、決済方法によってレートは異なります。これは購入者が選択する決済方法の為替、つまり決済会社の為替によって決済されるため、為替レートは決済方法によって変動しています。個人の購入者が複数クレジットカードを持っている場合、使用するカードによって為替レートが違ったりします。

国によって価格を決めるととっても面倒だった

海外展開を目指し、販売価格は販売対象国ごとに変更する方法も考えられます。伝統工芸の販売サポートをしていたときは、対象国ごとに価格を設定して商談をしていたこともありました。

しかし、国をまたいで商品を販売するときの為替変動、販売サポーターへのマージン、税金、などを鑑みたときに、国ごと価格を設定する手間はとても大変です。その作業だけでも、経費を追加するべきと思うくらいの作業量でした。

当時の為替変動はそれほど大きくなかったのですが、現在のような円安更新するほどのレベルになってくると事業そのものにも大きな影響を与えます。

為替リスクは購入者にもってもらう

「上記のような為替の変動を販売者が持つべきなのか?」そう疑問を自分に投げかけました。販売者1に対して購入対象国は無数です。購入対象国1に無数の購入者がいて、購入者1は複数の決済方法の選択肢があります。

為替や決済方法による変動リスクを販売者が管理することは不可能です。そこで為替や決済方法による変動リスクを購入者が負担してもらってはどうなるのか?と仮説を立てて検証していきました。

日本酒が高いのか安いのかは国によって人によって違う

先日、面白いニュースがありました。マクドナルドのビックマックの価格を国ごとに比較した「The Big Mac index」とよばれるものです。ビックマックやスターバックスといった世界展開している食品メーカーが提供する販売価格は、その国の購買力を知る意味で役に立ちます。

The Big Mac index (対象57カ国)では以下のように発表されています。

1位 スイス SFr6.50 ≒ 884.36円 (SFr1 ≒ 136.05円)
2位 ノルウェー NKr57 ≒ 799.14円 (NKr1 ≒ 14.02円)
3位 アメリカ$5.81 ≒ 768.30円 (US$1 ≒ 132.24円)
9位 ユーロ圏 €4.42 ≒ 624.66円 (€1 ≒ 141.33円)
15位 シンガポール S$5.90 ≒ 566.44円 (S$1 ≒ 96.01円)
26位 中国 24.40 yuan ≒ 485.07円 (1yuan ≒ 19.88円)
33位 日本 390円

出典:https://www.economist.com/big-mac-index


つまりビックマックの価格は上位国を比べると日本の1.5-2倍の国があることが理解できます。

ここから理解したいことは、ターゲット国において、日本酒はどのような価格感として受け入れられているのかということです。アルコールの輸入商品となると、関税や諸税が必要なことは購入者も理解しています。円安・円高といった為替リスクを見据えた価格帯になっていることも理解しています。

日本市場では高いと思っているお酒の価格帯であっても、国によってはそうではないかもしれない、といった現地視点の購買力を研究していく必要があります。

必要な経費を加算し、決済為替は日本円で固定する

上記から分かるように現地市場を軸にした販売価格の設定は、変動要因を把握し、リスクを想定し、計算した上で設定が必要です。このような変動リスクがある状況において、国ごとに価格を設定することはとても大変です。そのため国ごとの価格設定に対して労力をかけることはやめました。

購入者によって高い安いの感じ方は違います。変動リスクも違います。それであれば、仕入価格に必要経費を加算し、また購入者に変動リスクを負っていただこうと考えました。

つまり、

・為替による変動リスクを避ける。
・日本円を軸に販売価格を設定する。
・為替による販売価格は表示するもののあくまで「参考」とする。

です。

日本円で販売価格を表示し、日本円で決済

当社が提供する商品の商品価格は日本円で表示しています。他為替の表示は可能ですが、あくまで参考値としてです。決済価格は日本円です。決済方法は、クレジットカードやPaypal、またWiseやPayoneerが可能です。

購入者の方にとって、為替変動があるため、最終決済価格の明確な数字は決済時に分かりませんが、そこをご理解いただいた上でご購入いただいいています。日本円で決済する、日本で運用しているECサイトで、国内だけでなく、海外からも発注いただき、配送できるECサイトとしての位置付けです。

新しい日本酒サービスはこの越境ECで決済を行います。そのため販売・決済については次の決めごとを決めました。

・日本円で販売価格を表示
・複数の為替を参考値として表示
・決済は日本円で実行

この決めごとを軸に決済に関わることを検討し、決定・設定をすすめていきました。