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初摘発 就活のオンラインテストで替え玉

今日は家から徒歩3分の場所にある床屋さんに。そのお店は店長がお一人で切り盛りされている。
以前にそのお店の前を通りかかった際に、お客さんを見送る美容師さんの背筋がシャンとしている感じが素敵だったので、自分も客として髪を切ってもらうことにした。髪を切ってもらう間に色々とお話をお伺いしたところ、お見送りにはこだわりを持って行っていることがわかった。

私は髪を切る技術の上手い下手については全くわからないけれど、接客を真摯に行っていることはよく伝わってきた。こだわりは、伝わる。



さて、今日は就活関連のニュースから。

就職活動のオンラインテストを替え玉受験していた男性が摘発されたという事案。全国で初の摘発ということで話題になっているらしい。ちなみに容疑は私電磁的記録不正作出・同供用とのこと。


オンラインテストというのは、比較的容易に不正が出来てしまうことが問題視されていた。なんせ本人確認をする方法はIDとパスワードというデジタルな記号のみだから、それさえ共有してしまえばなりすましが容易に行える。

すごく言葉を選ばずに言ってしまうと、穴の多い試験ということになる。


では、なぜ企業側は大事な採用選考において、そんな穴のある試験を導入していたのか。

理由は2つある。採用の効率と性善説という観点で語ることが出来る。

オンラインテストを導入している企業には、比較的応募人数がたくさん(数万人規模)集まる大手企業が多い。

オンラインテストが導入される以前は、各企業が自社または自社で用意した会場に受験者を集めて、筆記試験を行っていた。当然そこには時間もコストもかかる。それこそ数百人が集まれる貸し会議室であれば、1日の利用で〇百万円という単位の費用が発生することもある。

オンラインであれば、会場費は必要ないし、現場で取り仕切る社員も不要。圧倒的に手間がかからない。すなわち効率が良いのである。


また、性善説という点について。
日本の採用慣行というのは、原則として性善説に基づいて行われている。
その証拠に、候補者のバックグラウンド調査を企業が自主的に行うことが出来ない。(候補者の同意が必要で、調査範囲も限定される)

すなわち、候補者が自分にとって都合の良い情報のみ開示することが出来るし、面接等で語られた内容について、企業側がその真偽を厳密に確認することは出来ない。あくまで、候補者の話した内容を”正”として、その上で採否判断を検討するというプロセスになっている。
(採否の判断権は企業側に100%委ねられているので、1%でも疑わしいと感じる点があれば、全て不合格とすることも物理的には可能である)


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物事の流れというのは、利便性の高い方に流れていくもので、基本的に流れに逆行することはほとんどない。

今回、オンラインテストの問題点が顕在化したわけだけれど、それでもオンラインテストというものが撤廃されることはないんじゃないかと思う。

不正があったとしても、それを踏まえた上で妥当性の高い採用が出来るように、選考の中盤や後半で、オンラインではなくリアルで同様の試験を行うなど別のプロセスで工夫をしてカバーするということが考えられる。


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全然別の視点で。
まだまだ進んでいないけれど、通年採用をする企業や新卒者に対してもポテンシャルだけではなくて、何かしらの実績やスキルを評価しての採用を行う企業が増えてきている。

海外ではギャップイヤーと呼ばれる期間がある。
これは学校を卒業してから、進学や就職までの間の期間を活用して留学やボランティアを行うものだが、1年程度の期間を自主的に確保する人なども増えてきているという。

4大を卒業してすぐに就職することを前提としているような日本の雇用環境が変わってくれば、画一的な採用選考の考え方にも、柔軟性がうまれ、様々な個性、特性に焦点を当てた採用選考が実施できるようになるのではと思う。


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就活のオンラインテストと実際のビジネスフィールドにおける能力にどれほどの相関があるのかと疑問を呈する考えも理解出来るし「入社さえしてしまえば」と感じる気持ちも分からないでもない。

これまでは、どのような刑法に抵触するのかが不明瞭なところがあったけど、今回の件で明確になりました。たかが就活で逮捕されるリスクを背負うのは、コスパもタイパも悪すぎる。
就活生にとっては”されど就活”なのだけれど、人生は1回の就活で転ぶほど軽いものではない。ちょっとくらいグラっと感じることがあるかもしれないけれど、長い人生の中で逆ブレすることだってある。

と、いうわけで不正はあきまへん。



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