「俺ではない炎上」を聞きながら。
Audibleで新たに「俺ではない炎上」という本を聞き始めた。
まだ最初の方しか聞いていないのだけれど、背中にいやな冷や汗をかいている。ミステリー作品にカテゴライズされると思うのだけれど、なんというか妙にリアルというか、現実にも起こりそうな設定になっている。
少しだけ内容を補足をすると、ある日、主人公の男性を装ったTwitterアカウントから、殺人現場と被害者の写真がTweetされた。Tweetは瞬く間に拡散され、数日とたたないうちにアカウント主(と思われる男性=主人公)が特定される。実名、顔写真、勤務先などがネット上で晒され、自宅にはやじうまが集まり、勤務先にはいたずら電話が鳴り響き、仕事もままならないような状態になってしまう。
こんな事件にまつわるあれやこれやが描かれているお話らしい。
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巧妙な手口で なりすまし を実行しているのだけれど、私がザワっとしたのは、Tweetを見た人々の反応だ。
最初は、事件の写真がアップされていただけで、実際に遺体が発見されたわけでもないし、フェイクニュースかもしれない状態だったにもかかわらず、「これ、ガチっぽいよね」のコメントから、ただのAudienceだった人々が犯人捜し(アカウント主の特定)に動き出したり、実際に警察に電話したりと様々な反応を示したという描写があった。
これは小説の中のお話ではあるけれど、現実に起こったとしても何の不思議もない。
そうなってくると、事件というのは実態の有無に関わらず、裁きが行われてしまう。喩えていうならば、魔女裁判のようなものなのだろうか。
そもそもネットニュースの類というのは、情報が切り取られ、再編集され、拡散されていく。したがって、信憑性の有無を見分けるということは非常に難しい。その結果、何が真実かということよりも、何が真実っぽいか。或いは、公共の利益になりやすそうか。そんなところが裁きの論点になっているのかもしれない。
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昔は富の交換手段だった金がいつしか紙になり、今や実態のないデータに置き換わった。その根源にあるのは信用という実態のつかめない偉大な存在だ。
それと同じように体験や言動といったことすらも、VRな世界が拡充していくことで、いつかはデータに置き換わってしまうのだろうか。
小説の続きを聞きながら、事態の流れを追いかけてみようと思う。
なんだかなぁ。どうなるんだろうなぁ。
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