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前職の思い出。無断欠勤社員の対応。

先日、前職の後輩が退職をすると連絡してくれた。

その後輩はニットさん(仮名)といい、20代の若い女性社員だった。
入社した当初は20代前半で、髪の毛も金髪に近いような色をしていて、いかにも若者という感じだったのだけれど、4年後、彼女はマネージャーに昇格していた。何事にも一生懸命で努力を惜しまない彼女は誰からも信頼され、慕われている人物だった。

私はHRBPとして彼女と定期的に1on1面談をして、チームマネジメントの課題について一緒に考えたり、ときにアドバイスをさせて頂いた。


ニットさんと一緒に行った仕事で忘れられない思い出がある。
彼女がマネージャーになりたての頃、チームメンバーの一人の勤怠が悪化し、欠勤が続いていたかと思うと、無断欠勤をしてしまったのだ。

無断欠勤をした場合、前職ではまず上司が連絡をすることになっている。ニットさんは電話をかけたが、該当の社員にはつながらない。無断欠勤の初日は何度かかけ直して、留守番電話にメッセージを残して様子を見ることにした。

ニットーさんはマネージャーになりたてで、いきなり部下が無断欠勤なんてことになってずいぶん動揺していたように思う。

翌日もその社員は出勤してこなかった。
再び電話をかけ、つながらないのでメールを送る。
「心配しているので、連絡をしてください」
しかし、レスはない。


当時、私とニットさんが所属をしていたのはCS(カスタマーサービス)部門で、お客様からのお問い合わせ対応を行う部門だった。なんとなく想像がつく人もいるかもしれないが、カスタマーサービスの業務というのは、精神的にかなりタフなことが多い。怒り心頭のお客様から暴言を吐かれたり、人格否定されるようなことを言われたり。慣れてくるとそういうことも気にならなくなってくる(気にしないように意識できる)のだが、慣れるまでは自分自身を否定されているような気持になってしまう。
特に入社間もない社員というのは、そういう面でもケアが必要なことが多い。

無断欠勤をしていた社員も、入社からそれほど期間の経っていない社員だった。メンタル的に参ってしまったのか、単純に仕事に嫌気がさしたのかはわからない。(欠勤の頻度やタイミングから、メンタル的に疲弊していたと予想される)

3日ほど、音信不通が続いてしまったので、私とニットさんで自宅にお伺いすることにした。
オフィスからバスに乗り、恐らく1人暮らし用と思われるマンションに到着する。

オートロックの物件だったので、エントランスからインターホンを鳴らすも応答がない。
郵便受けを見ると、特に郵便が溜まっているわけではなさそうだったので、恐らく出歩くことが出来る程度には体力があると思われる。(もちろん郵便受けは外から遠めにチラ見しただけなので、中身を開けて確認したわけではない)

電気メーターは回っている。まぁ、冷蔵庫などの家電製品があれば不在時でも電力消費はあるので、メーターを見るだけでは在宅しているのかどうかはわからないが、そんなことをしている自分が人事ではなくて刑事みたいだと苦笑する。

何分か粘ってその間にも携帯から連絡をしたが、連絡がつかないのでニットさんに”手紙”を書いてもらい、ポストに投函してオフィスに戻ることにした。結局、その社員はその後も無断欠勤が続き、最終的に就業規則の定めに則って自然退職となってしまった。(後日、社員証などが会社に送られてきた)


マネージャー初心者のニットさんにとっては、深く考える出来事になったようだ。普段のコミュニケーションで、その社員の課題に気が付くことができなかったか。どうすれば同じ轍を踏まずに済むのか。

チームマネジメントがうまく出来ないと泣きながら1on1をしたこともあったが、もともと努力の塊のような人だったので、数か月後には彼女は部門を代表するような優秀なマネージャーになっていた。

私自身はHRBPとして間接的なサポートをするだけではあったものの、多少なり彼女の成長に寄与出来ていたなら、とても嬉しく思うし、純粋にどんどん成長していく人を見ているのはそれだけで嬉しく楽しいものだった。

是非、今後どのようなフィールドに立つことになったとしても、ニットさんらしく努力を忘れずに突き進んでほしいし、ますますの活躍をお祈りしたい。

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人事業務について、あまり詳しくない人からすると、欠勤社員の自宅にまで訪問するなんて!?と感じた方もいるかもしれない。

私も人事になりたての頃は、無断欠勤したからといってそこまでケアしなくてもいいんじゃないか?と思っていた。

私自身が経験したことではないが、人事の先輩が過去の職場で、無断欠勤した社員の自宅を訪れてみると、社員が亡くなっていたというケースが過去にあったらしい。病気などによる突然死ということもあるし、それ以外のトラブルなどが発生している場合もある。
どこまでケアするかというのは、会社の方針やスタンスなどにもよるけれど、会社には社員に対する安全配慮義務があり、加えて守る(守らせる)べき就業規則というものがある。

意外と知られていないことだが、無断欠勤というのは、実はかなり思い処罰を受ける可能性がある。1回で懲戒解雇にすることは難しいけれど、複数回続けば懲戒解雇にしても妥当と判断されるくらい、重たいことなのである。

しかし、そのような判断をするにせよ、どのような状況で無断欠勤が発生していたのかを徹底的に確認する必要があり、そのために社員と直接的にコンタクトを取ることは重要なのである。

ちなみに、余談になるが、連続で無断欠勤をする社員というのは時々発生する。大抵は会社から電話連絡をしても、ほとんどはつながらいし、メールにレスもこない。それでも面白いことに「連絡がないので自宅に訪問しますね」とメールを送ると、かなりの確率でレスポンスが得られる。
#なんなんだろ、部屋散らかってるのかな


今日は過去を振り返りながら、人事の仕事について少しだけ触れてみました。
勤怠不良社員の対応について、他にも色々な事例があるので、どこかでまとめて書いてみましょうかね。





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