面接には地雷が埋まっている
これまで私はけっこうな数の面接を担当してきた。正確な数字はもはや把握していないけれど、新卒と中途を合わせると3,000件くらいになるだろうか。
色んな職種の担当をして、色んな候補者と対峙してきた。
私が面接に臨む際の基本的なスタンスとして、合否基準に対して必要な要素を持っている候補者かどうか、判断するための材料集めを行うという心づもりで面接を行なっている。
したがって、基本的には面接を行なっている最中は合格とも不合格とも判断をしないし、敵でも味方でもなくフラットな立場にあることを意識している。
とはいえ、面接官という立場上、候補者に魅力を伝えることも重要な役割なので、味方だと思ってもらえるように意識している面もあったりはする。
そんな私が面接を行なっているときに、どうにも気になってがっつりと深掘りするポイントがいくつかある。
その一つが、ビッグワードである。
ビッグワードとは、抽象度が高くて解釈に幅が大きい言葉のことである。
たとえば、私が面接でよく耳にするビッグワードの1位は「コミュニケーション(能力)」である。
特に新卒面接で耳にすることが多く、「私はコミュニケーション能力が強みです」という自己PRを聞かない日はないくらいである。
面接官である以上、相手の強みはきちんと確認しないといけないと、必要以上な義務感に駆られて深掘りを始める。
「コミュニケーションには色々な要素がありますが、得意なのはどういう部分ですか?」
分かりやすく話すこともコミュニケーション、
相手の話を丁寧に聞くこともコミュニケーション、
SNSでマスに向かってメッセージを訴求することもコミュニケーションだし、
一対一で膝を突き合わせて対話することもコミュニケーション。
場を和ませるようなユーモアもコミュニケーションだし、
怒り狂ったクレーマーを宥めるのもコミュニケーション。
言語非言語、日本語外国語、文字音声それ以外などなど、形式も様々である。
真面目な面接官としては、あなたが強みだと言うコミュニケーションとは、具体的に何なのか?と問わずにはいられなくなる。
そして、同時にこうも思う。
(こんなに秒で問い返されている時点で、本当にコミュニケーション能力が高いのだろうか?)と。
そう、コミュニケーションは面接官としての私にとって地雷のようなものなのである。
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コミュニケーションほどのビッグワードではないけれど、他にも地雷がある。
それは「分析しました」である。
「分析しました」とか「分析した結果」とさらりと話す候補者がいる。
私の触手がピクリと反応する。
「で、分析って具体的にどんなことしたんですかー??」と。
比較でも、バラツキでも、細分化でも手法はいくらでもあるし、何でもよいのだけれど、意外なほどに分析の中身を答えられる候補者は少ない。自分でやったはずなのに。
もちろん、ビッグワードを使っているからと言って、それを理由に合否判断することはない。
ただ面接官によっては、深掘りするためのシャベルを用意していることだってあるし、何より具体的に意図するところが伝わりにくくなるので、ビッグワードを面接で使うときには細心の注意が必要なのだろうと思う。
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