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若い女性に解離性障害が多い理由

 ヤフーニュースで「若い女性に多い解離性障害」というのがトップに出ていて。その話をします。

 解離性障害ってのは、離人症とかも言われますが、極端に言えば二重人格とか多重人格ってことで、それは「家庭だと性格が変わって暴力的」みたいな話ではなくて、記憶ごと抜け落ちる。人格が切り替わる。

 昔の小説のジキルとハイドも、そういう話。例えば、何時間かの記憶が全然なくて、その間、違う人格として活動している、みたいなことです。で、この副人格のレベルが低いと離人症だけど、副人格が確固たる人格になってくると、二重人格とか、それが複数になると多重人格と呼ばれます。解離性同一性障害、です。


 で、そんなのは小説とかの話じゃないの?と思うかもしれませんが、まぁ詳しくは言えないけど、これはガチであります。僕は実体験としてあるので。別に、僕が、ってことじゃ無いです。周りの人にいた、ということですけど。

 で、この体験は、僕の今の考えのベースになっているんだけど、それは「人格は作りもの」だということです。自分が自分だと思っている「自我」というのは、脳の機能であり、人によってはそれが複数になることもある。


 自分が自分である、自意識や自我というのは、何か絶対的なものではなく、人によっては複数、持つこともできる。で、その複数の「人格」は、今、我々が普通に、自分が自分であると思っているように、その複数の人格も、自分を自分だと思っている。

 この、副人格というか、二重人格の片方や、多重人格の一つの人格も、我々と全く同じような自我を持っている。脳が複数の自我をコントロールできるという機能には恐るべきものがありますが、ただ、この本質は「自我は作りもの」だということなんです。


 多重人格者が、環境適応するために(例えば虐待から逃れるために)自我を複数、生み出せる。で、その自我は、我々の自我と全く同じ。ということは、我々の自我だって、作りものなんですよ。多重人格のうちの一つの人格と、全く変わらない。

 我思うゆえに我あり、という「我」のベースは、脳の機能にしか過ぎず、しかもいくつも生み出すことすらできる。自我なんて、そんなものなんですよ。意識も自我も、脳の機能であり、作りものです。


 先ほど、家庭だと性格が変わる、みたいに言いましたが、さっきは全然違うと言ったけど、早速の前言撤回をするけど、似ていることもある。

 家庭や会社など、その場面での性格って、あるでしょう。同窓会に行ったら、中学校時代の性格に戻るとか。また、外国語をペラペラでしゃべれる人だったら、外国語を話している時は違う性格になる、ということもあると思う。僕も英語を喋るときは、自分で、人格変わっているな、より主張激しくポジティブになっているな、と思います。

 で、それが極端になってくると、ま、そこには「記憶の断絶」とかの、超えにくい壁があるわけですが、人格の分裂が起こります。なぜそういうことが起こるかというと、既存の行動原理では、不具合が出てくるからです。

 例えば、子供の頃に、普通の優しい家庭で育っていて、それなりの普通の人格を形成していった。でも、ある時から、虐待が起こるようになる。すると、今までの「愛されている」とかいう人格だと、矛盾が出てくる。なので、その環境に適応するための、別の行動原理(人格)を作り出す。


 以前、共感性の話をしましたが、人間には共感性の高い低いがあります。高い人はHSP、低い人はサイコパスと呼ばれています。単に名付けられているだけです。そういう本質があるわけでは、ありません。身長2メートル以上の人に名前をつけているようなものです。

 で、解離性障害は当然、HSP側に起きます。なぜかというと、共感性が高いほど環境に左右されるからです。共感性が高いということは、他人に合わせるということであり、そのために人格を切り替える必要が出てくる。他人に合わせないなら、そもそも人格は一つで十分です。


 で、これも以前に書いたけれども、男性よりも女性の方が共感性が高い傾向がある。原始社会を考えれば、これも当たり前で、男性は村の外に行き、女性は村にとどまることが多いから、他人との付き合いも増える。共感性が高い必要があります。

 なので、解離性障害が女性に多いのも当たり前。サイコパスが男性に多いのと同じです。解離性障害は女性に多い、というだけであり、男性にもいますよ。ビリーミリガンは男性ですし。(ただ、男性が女性人格を生み出すことは、あります。また逆も然り)。


 また、若い女性に多いというのも、これは出産・育児と関係しているんじゃないかと思います。僕は、哺乳類の育児が「自意識」の始まりだと思っていますが、育児というのは、優先順位を自分以外に置くということです。子供の気持ちになって、子供のために行動しないといけない。

 特に人間は、全ての生物の中でトップクラスに育児が大変な動物です。人間の赤ちゃんほど、無力で生まれてくる動物も、なかなかいません。世話がめちゃめちゃ必要なんです。少なくとも1年ぐらいは、つきっきりでいないといけない。


 育児は集団で行われていたのですが(もちろん現代社会は違います、だから現代の母親は大変)、集団で行うにしても、その中心にいるのは母親です。母親は最も、赤ちゃんに自我を投入させないといけない。

 ですから、妊娠出産の適齢期の女性というのは、育児のために、自我が不安定になるのではないか、と思います。その目的は、赤ちゃんに自我を移行させるためです。で、出産可能な年齢である16歳ぐらいから、かなり自我が揺らぐんじゃなかろうか。ある意味、自己犠牲のための準備です。だから、副作用で、自己犠牲的になる。自傷とか。

 で、その年齢ぐらいで本当に出産していたら、まぁ遺伝子の目論見どおりであり、自我の不安定さは育児にも役立つ機能なので、マシなのですが。現代社会では、その辺りの年齢は高校生で、将来どうしようかとか、恋愛したりとか、また人間関係で傷つくこともあるし、SNSもあるし、かなり「他の人格」の必要性が高まっても、いる。

 そもそも遺伝子の目論見で自我が不安定になっているところに、社会環境の変化圧がかかり、解離性障害が発生する。それが、若い女性に解離性障害が多い原因です。


 じゃあ、どうすりゃいいのか、っていう話ですが。もう、これは毎度の根本的な話で言えば、遺伝子が想定する世界と、現実世界とのズレでして、こんなものは一朝一夕にどうこうできるものでも無い。

 で、個別の話で言えば、安定するためには、ある一つの人格で大半のことを行える環境を作ることです。大抵は、それは家庭です。家庭の愛情があれば良いということです。ま、それが出来ないから、そもそも解離性障害になっているわけですが。小さなレベルで何が原因かと言えば、家庭に居場所が無いこと、愛されていないことが原因です。


 人間は集団の動物であり、特に共感性の高い人(主に女性)は、人間関係の中に居場所を求めます。人間関係が無いと不安になる。そういう脳内物質が分泌されるということです。遺伝子の想定する世界では、ハブられたら生きていけないわけです、特に女性は。なので、人間関係が破綻することを恐れる、人に嫌われることを恐れる、人に合わせようとする。良い悪いじゃなくて、そういう仕組みになっています。


 あと、人格は作り物、と言ったけど、これは不思議なもので、一度作ったものを作り替えるのは難しいんですね。作ったものを壊すことはできず、新たに別のものを作るという解決策を取るのです、生物は。

 これは身体的にもそうで(脳も身体ですが)、人間も、もう必要なくなった尾骶骨なんかも残っているんですね。猿だった時の機能を、使わないのに、無くすことはできない。人格も、これも一度、作ってしまうと、それを無くすことはできない。なので、その人格が対応できなくなったら、新しいのを作るんです。

 じゃあ、それまでの人格をどうするかというと、普通は「眠る」んです。解離性障害の、使われていない主人格は、無くなるわけじゃなくて、寝ている。だから切り替わる。記憶が飛ぶ。これが、無くせるのであれば、ある日を境に人が変わった、ということになるのですが、どうも、そうはならない。生物の「作ったものは壊せない」という法則もあり、解離性障害は起こる。


 現代は文化が複雑に混じり合ったからこそ「自由」にもなったけど、その一方で「不安定」にもなっています。数年すれば、価値観も変わってしまうし、家庭と学校と社会の価値観が違うこともある。そういう中で対応するために、人格が分裂してしまうのだと思います。現代的な症状です。はい。またあした。

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