魅力の無い文章を書くこと #書評
note を読んでいると、人を惹きつける、読んでいてワクワクしたりウーンと唸る文章がたくさんあります。
note で書こうとすると、どうしてもそうした文章を目指してしまいます。
いつでも、そうした「魅力のある」文章が必要でしょうか。
別にそういうわけではないですよね。
note や物語での文章と、仕事で使う文章とは別のものです。
仕事で使う文章について書いた本について紹介します。
本書の内容
理科系のと謳っていますが、科学論文の書き方を起点にして書いていて「仕事の文章」について書いていると明記しています。
客観性の求められる文章、資料の書き方について、気をつけること・構成・テクニックなどが書かれています。
本の構成は以下の通り。(重要と思う章について)
1. 序章
導入。この本の目的や範囲の定義、用語の定義。課題の提示を行う。
3. 文章の組み立て
取るべき文章の構成、どのように組み立てるのか。
5. 文の構造と文章の流れ
日本人の文章の特徴と、今回の主題に際しての問題点。
7. 事実と意見
事実とは何か、意見とは何か。それを区別すること。
これらの章は、特に「日本人の文章」の課題と、そこから連動した文章の書き方について書かれています。これ以外の章は、テクニックや具体例なので必要に応じて読めばいいかと思います。
参考になった箇所
「1. 序章」、「3. 文章の組み立て」の2章では、どのような流れ・構成で文章を書くのが適当か、ということが書かれています。
どうしても、各論に意識が行きがちなところもあるので(皆さんもそうでしょうか?)、序章から結論にどのように導くのか(どこで論旨を書くべきか)、アウトラインから考えるべき、などなど。
ちょっと文章が固く、読みづらいところもありますが、要点に意識を置いて読むと眠くないかと思います。
「5. 文の構造と文章の流れ」では、「レゲットの樹」という表現で文章の流れについての説明があります。
著作権(?)とかの都合で引用はしませんが、この説明が非常にわかりやすいです。情報の幹と枝葉という考え方で重要なことを伝えるための(逆に伝わりにくい書き方が何か)方法を解説しています。
映画・物語などが、
枝葉から始まり(伏線が張られ)、
徐々に収束していって(伏線が回収される、1つのところに収まる)、
最後に結末を迎える(結論に至る)
というような流れになっている(ことが多い)のは、「日本語の言語構造」として説明されるとわかりやすいように思います。
「7. 事実と意見」はとにかく、事実と意見を分けましょう、ということ。
これは訓練が必要ですが、自分が理解するのにも相手に理解してもらうにも非常に重要なのでかなり意識する必要があります。
また「10.2 説明書」の章も良い内容だと思います。作ったシステムのマニュアルを作る機会はありますが、どうも書くのが難しい。
テクニックとして参考になります。
オススメする相手
理科系とありますが、報告書などの仕事の文書・資料を書く人は読むととても参考になると思います。
逆に、エンターテイメントな文章を書く人には適さないかと思います。そういう人が何を参考にするのがいいのかはわかりませんが、価値が逆になるような気がします。
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この本、とあるプログラマーのコミュニティで話題に上がり、良さそうだな、ということで購入しました。
プログラマーの場合、資料を書くのではなくても有用そうです。
なお、今回はこの本を読んだ手法を参考に書いています。
文章を書くとき、魅力があることは常に良いものだと思いますが、文章の魅力・読みたくなる、みたいなことに価値が置かれないものもあり、そうした文章を意識して書くことも必要だ、と言えると思います。
読む相手に共感してもらう・惹きつける、というものではなく、適切に伝えることにとにかくフォーカスするの重要性を認識しました。
この要点を抑えることで、それが価値として伝わることもあるでしょう。
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