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コロナ禍で動きはじめた高校生〜2020を総まとめ〜

「球技大会も無くなりました。このままだとコロナに青春が奪われてしまう」オンラインでスマホ越しに高校生がつぶやきました。1ヶ月前まで高校生活を謳歌していた新2年生の女子生徒でした。2020年3月2日から終わりの見えない休校期間に突入していた時期のことです。

私は宮城県気仙沼市に住んでいて、NPOで教育事業に取り組んでいます。気仙沼の中高生が取り組むまちづくり活動などプロジェクト企画を通じた探究的な学びのお手伝いを、学校と連携して進めています。プロジェクト型学習(PBL)という言い方もされます。そして私たちのようなNPOもコロナ禍で身動きが取れなくなってしまいました。しかし危機は好機、突破方法はあるはずです。そこで休校開始から2日後の3月4日、高校生たちに声をかけて初めてオンラインの集まりを企画、それからおよそ週2回の頻度でスマホやパソコンの画面越しで対話するようになります。不安を語る高校生たち。冒頭の言葉もそんな中で聞いた言葉でした。一方、驚いたのは初めて見る高校生や遠方の卒業生まで集まってきたことです。対面の集まりより参加しやすいというオンラインの強みも発見できたのです。

次世代技術や気候変動などについて学ぶ「未来ゼミ」や、コロナ休校期間中に挑戦したいことを探究する「探究ゼミ」をつくりました。そしてその集大成として、ゴールデンウィークに「気仙沼バーチャル文化祭」を企画、合言葉は「#青春を止めるな」。子ども向けのクイズ大会、恋愛相談のラジオ番組、多地域のふるさと自慢大会など、4日間に渡り約10名の高校生たちが代わる代わるイベントをリモートで実施、結果地元気仙沼や全国、そして海外から一般の方110名のべ261名が参加してくれたのです。

私は地元兵庫県姫路市から早稲田大学に進学、2011年3月卒業と同時に東日本大震災を経験、いてもたってもいられず内定先の会社に入社せず被災地気仙沼に飛び込みました。当初はガレキ撤去などのボランティアに従事しますが、そのままコミュニティ支援に移行、そして教育事業に出会います。滞在期間は1年2年と延びていき、いつしか移住者と呼ばれるようになりました。手探りで非営利組織「一般社団法人まるオフィス」を起業、現在は妻と空き家を借りて二人の子どもと一緒に暮らしています。

そんな私にとって滞在10年目の節目となる2020年度は転機の年になりました。6月の学校再開後もオンラインゼミは無くならなかったのです。無くならなかったどころか7月から「Weeklyゼミ」と銘打って毎週開催に踏み切ります。リアルの対面も大事にしつつ、併用しています。結果、コロナ以前より高校生たちとコミュニケーションが密に取れるようになりました。コロナで「できなくなった」事業があるのは確かです。しかしコロナで「できるようになった」ことを見つけ出していく大人の背中を次世代の彼らに見せたいです。全国からご寄付を募り、運営体制を整えているところです。現在もご寄付を募集中ですので応援よろしくお願いします。

12月、気仙沼の高校生のプレゼン大会がありました。壇上で高校生が語ります。「コロナ休校中に声をかけられなかったら、わたしは挑戦してませんでした。私にとって一番濃い半年だったかもしれません」熱いものが込み上げてきました。10代の貴重な日々です。それを支える大人たちもコロナ禍の収束を座して待つヒマはありません。何かを「やめたきっかけ」より「はじめたきっかけ」としてコロナ禍の記憶を次世代に届けたい、そう決心した瞬間でした。

追記

10年の節目に気仙沼の活動を支援してくださる方は「まるゼミ」Webページから活動の詳細をご覧ください。
http://maru-zemi.com/support/
月1,000円〜少額定期寄付(毎月自動引落)で活動レポートが季節ごとにお家に届きます。ぜひよろしくお願い致します。

高校生とYouTubeもやっていますので動画もお楽しみください!


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