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季節労働|ホタテ漁師編|#04 ホタテ漁師の仕事って何してるの?
さて、前回からの続き。
北海道豊浦町でホタテ漁師の季節労働。
ホタテ漁師さんの元で働いているのは分かった。
では、具体的にはどんな仕事をしているのか。
今回はそんな話。
![](https://assets.st-note.com/img/1657108017796-7zxqZDE7t5.png?width=1200)
はじめに
まず、基本的なことから。
この時期の作業はホタテの出荷ではなく、稚貝の養殖である。
一言で言えば、稚貝を一旦陸に揚げ、加工を施してまた海に戻すという仕事だ。
1.出航、陸揚げ、搬入
早朝、稚貝の入った籠を船で揚げに行く。
朝の2時くらいに出航するらしいが、旅具店はこの作業には参加しない。
漁師のお父ちゃん+息子さん+有志のアルバイターが参加する。
4時少し前、船が港に戻ってくる。
船に搭載されたクレーンで陸に上げ、フォークリフトで作業場に搬入する。
旅具店が出勤する頃、ちょうどこの作業が行われている。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82150635/picture_pc_e708fd7114c25fc3f1fdb52756729198.jpg?width=1200)
この小さな籠1つ1つに稚貝が沢山入っている。
2.貝出しと機械洗浄・選別
陸揚げしたホタテの籠は、パレットの上に乗せられ作業場へ搬入される。
旅具店はここからお仕事開始。
上の写真のキャプションにもあるが、ホタテの籠はいくつもの小さな籠が連なっており、このひと塊を1本と数える。
パレットの上に山積みになった籠の中から1本を選んで手繰り寄せる。
手繰り寄せたら、それぞれの籠に入っている稚貝を取り出して、丸カゴと呼ばれる青いプラスティックのカゴに入れていく。
これが【貝出し】という作業。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82356821/picture_pc_63d8324715800735206d761a4e0fd153.png?width=1200)
写真後方、船から下ろしたホタテ籠を運搬する
フォークリフトが作業場に入って来ようとしている。
丸カゴに出した稚貝を機械に入れる。
ジャンジャンジャンジャンジャン!!!!
と、すごい音がして、機械音以外何も聞こえなくなる。
この機械が稚貝を洗浄・選別する。
機械にはふるいが付いており、小さすぎる稚貝はここで脱落。
その様子を写真に撮りたかったが、そんなことをしている余裕はなく、残念ながら写真はない。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82151567/picture_pc_45e3a221daab43702968d12f67d8d07a.jpg?width=1200)
一番奥にちょっとだけ写っているシルバーの箱のようなものが機械。
3.ホタテをミシンで縫う
え!?と思うかも知れないが、言葉通り、ホタテをミシンで縫う。
専用のミシンで1組2個ずつロープに縫い付ける。
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黄色のロープにホタテが縫い付けられている。
このロープを海に垂らして更に成長させる。
こうするとホタテひとつひとつが大きく成長するうえ、ホタテが海底に付かないので、出荷の際に砂抜きする手間が省けるらしい。
これはこの地域独特の養殖方法で『耳吊り』という。
さて、ホタテをミシンで縫うと言っても、どこを縫ってもいいわけではない。
1つのホタテには必ず白と黒(※本当は茶色だけど、黒と呼ぶ)の面があるのだが、
白い面をよく見ると左側に殻が薄くなっている部分がある。
ミシンで縫うのはこの部分で、大きさは約3ミリ。
この部分を縫うのには理由があって、ここだけが唯一穴を開けてもホタテに影響が無いからなんだそう。
他の部分は、ただの殻に見えても内側に膜のような組織があって、傷付けるとホタテが弱ってしまうらしい。
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ミシンの両脇にはシルバーの台がついていて、ここに稚貝を置く。
右側には白い面を上にした稚貝を、左側には黒い面を上にした稚貝を置く。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82151408/picture_pc_5e1b3b261173f28323fbd0995b1f2961.jpg?width=1200)
左右からひとつずつ取って 一番下から白・ロープ・黒の順で重ね、
あの3ミリのポイントを狙って縫う。
しかし、下の写真を見てわかる通り、ホタテを重ねると狙うポイントは全く見えなくなる。
ミシン本体にガイドは付いてるものの、ほぼ感覚で縫う。
結構難易度が高い。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82151403/picture_pc_82c4bf8a9ecc2356c1072b76ec912a31.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82152122/picture_pc_f7dec1e67e124de2d595bbce09d865f9.jpg?width=1200)
ミシンの反対側から見るとこんな感じ。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82151876/picture_pc_b95d7c02f4fa88cae4bb5c907f30063e.jpg?width=1200)
ロープの拡大図。
どちらのホタテも狙った位置がきちんと貫かれている。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82151874/picture_pc_9f7926005a823104879d90805673283b.jpg?width=1200)
ミシンから出てきたロープは青いコンテナで受け、コンテナごと一度水槽に入れられる。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82276411/picture_pc_315a4c0113769a3173851886df01016f.png?width=1200)
4.ミシンの補佐、オセロ
ミシンは作業場に5台ある。
と言うことは、ミシンを打つ(ここの漁家さんはミシンを ”打つ” という)のは5人だけだ。
この5人はただひたすらに全速力で稚貝を縫っていく。
他のメンバーはミシンの5人が少しでも早く作業を進められるよう補佐する。
その補佐の1つが【オセロ】だ。
まず補充担当が機械から稚貝を次々にミシンの所へ持ってくる。
オセロ担当はそれを受け取り、ミシンの台の上にあける。
そして前出の写真のように、ミシンの右側の稚貝は白、左側の稚貝は黒になるようにひっくり返す。これが【オセロ】という作業だ。
オセロ担当は稚貝をひっくり返しながら、機械では選別しきれなかった形の悪いものや病気の稚貝の選別も同時に行う。
5.積込み、出航、稚貝を海へ
ここからチームは二手に分かれる。
作業場に残る【ミシン・補佐チーム】と、船に乗る【船チーム】だ。
船チームは、お父さん+息子さん+それまでミシン補佐をやっていたメンバーの中から選ばれた数人で構成される。
補佐は船チームに何人か人員を持っていかれてしまうので、ここから忙しくなる。
船チームはミシンで打たれたロープが入ったコンテナを船に積み込む。
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そして出港。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82277221/picture_pc_981950ab7a7d46096cffb3be9ff05526.png?width=1200)
稚貝を海へ戻すポイントに着くと、まずブイを引き上げる。
辺りにはいくつかブイが浮いており、ブイ同士は長いロープで繋がっている。
このロープに稚貝を縫い付けたロープを結び、海に垂らしていく。
写真クリックで短い動画が見られます ↓
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82356883/picture_pc_6d93f5e1b0f47e107aebcd5ce94bdbb9.png?width=1200)
そこにミシンを打ったロープを結び、海へ垂らす
全ての稚貝を海に垂らし終えたら、港へ戻る前に新たなホタテ籠を回収する。
そしてまた最初の作業作業【1.陸揚げ、搬入】に戻って同じ工程を繰り返す。
まとめ
こんな感じで毎日毎日ホタテの稚貝と向き合う日々。
朝の気温はまだマイナスなこの時期、早朝からの水仕事はかなり冷えるが
それはそれで『北の海の漁師』という味が出て悪くないと思っている。
ざっくりとではあるが、ホタテ漁師のお仕事でした。
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