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惑星【ショートショート】

 宇宙調査の第一人者とも言われているその学者は、今まで数多くの発見をしてきた。しかし、今回はこれまでとは比にならない大発見をした。
 それは、生命が存在する可能性が高い、惑星を発見したというのだ。早速、多くの専門家達が集まりその惑星の調査に入った。
 そして、無人の探査機をその惑星に送ることになったのだ。

 しかし、もしその惑星に生命が存在したとして、その生命体が凶暴なものだったら、我々の存在に気付き攻撃をしてくるかもしれない。
 そこで、その学者と専門家達は知恵を出し合い、向こうの惑星からは見えない探査機を作ったのだ。

 早速、その探査機を飛ばした。一ヶ月後、その探査機は惑星を見ることができる位置に着いた。
 専門家たちの目は、少年のようだった。その惑星で多くの生命体が生活をしている様子が、大型モニターに映し出されたからだ。

 そのニュースは一瞬で世間に広まった。その惑星の生命体と仲良くなれば、お互いの惑星の知識を共有しあえる。
 また、それぞれの惑星にしかない資源なども交換できる。その惑星に旅行に行き、見たこともない景色を拝むこともできる。皆がそれぞれ色々な夢を語った。そんな夢も絵空事ではないのだ。

 かといって、いきなり訪れては何が起こるかわからない。その学者と専門家達は、その惑星に住む生命体がどのような生き方をしているのか、探査機で観察することにした。そして、その惑星の歴史などの調査も始まった。

 しかし、調査を進めるごとに、その惑星の生命体の恐ろしさが次第にわかってきた。その惑星に住む生命体は、同じ生命体同士で殺し合いをしているというのだ。
 言語というものが、存在していないのではないかと考える専門家もいたが。その説も虚しく、その生命体はあらゆる言語を使って互いにコミュニケーションをとっていた。
 言語というものがあるのにも関わらず、その生命体は、互いを攻撃しあっていた。

 しかも、その生命体は多くの武器を持っていた。中には、自らの惑星を滅ぼす程の武器もあると専門家は突き止めた。
 そんな恐ろしい惑星に我々が行ったところで、攻撃をされて終わりだ。調査中にも、惑星のあちらこちらで争いが行われていた。その生命体の血の気の多さに、その学者や専門家達は驚きを隠せなかった。

 探査機をその生命体にバレないように帰還させた。その惑星との交流のプロジェクトは、夢に終わったのだ。

 後日、一連の調査内容を学者は学会で発表した。その生命体の恐ろしさや、その惑星には他にも多くの問題があったということ。
 また、その惑星に住む生命体は、自らが住む惑星のことを地球と呼んでいるということを。



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