小鳥の如く

吐いた煙のように消えていった
秋の深まる空気に溶けて

都会の空に光る星の弱い輝きは
ネオンの集まりが邪魔して
さらに輝きがぼんやりしている

思い出そうとしても
表情が思い出せない
違和感を感じながら呼んでいた名は
もう口にすることもない
手を伸ばす対象もなく
言葉ももう届かない

あの夏の日に食べたカキ氷より早く
2人の気持ちは溶けて消えた
この関係は最初から
実在していなかったみたいで
儚さよりも虚無が勝る

どこかに落とした愛情
それともそんなものは存在しなかったのか
携帯の中、ノートの中どこを探しても
見つからないのだ

取り戻すのをやめた
伝えるのをやめた
お前は元の巣に帰っただけだ
私の中には何も根付いていない

お前に焦がれたあの思いは
私の言葉と同じ一方通行
今は、羽を仕舞ってチョロチョロ歩く
お前の滑稽さに失笑するのみ

暗い田舎の夜空で羽ばたけ
そして前から愛する対を
永遠に捕まえておけ
これが私がお前に与える最後の言葉

冷たい空気に混じり分散していく煙
私の元には戻りえない
二度と

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